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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第3回 un−3
 そんで夕方。友だち何人かと街で遊んでたら、もう、午後七時になった。
 時間の経つのって、ほんと、早いよな。
 俺は、バス停から自宅へ向かう道を歩いていた。途中、公園があるんだが、ここを通り抜けると、近道になる。なので、その中を通っていると、なんだか、いやな気配がした。
 と同時に、空気が凍り付くような、硬くなるような感覚があった。
 いや、気配、とか感覚、ていうのとは、ちょっと違うかな?
 匂い、だろうか?
 その時、俺の目の前に、白い影があるのに気づいた。その影が、近づいてきた。
 それがなんであるか、わからない。でも、こいつは関わっちゃいけない存在だ。なんていうか、本能の部分で、そんな風に感じる。
 俺が、恐怖で立ちすくんでいると、風が唸った。
 その風が俺の前に立ち、その白い影を威嚇するように、実体化する。
 黒い背中が見えた。
 白い影が、何かに気づいたように、バックステップを踏み、空間に溶け込むように消えた。
 黒い影がゆっくりと振り向く。その顔を見たとき。
「……蝶の仮面(ペルソナ)……」

 気がつくと、俺は、一人で公園に立っていた。白い影も黒い影も見当たらない。
「? 夢? なわけねえよな。でも、誰もいないし」
 こういうのをキツネにつままれたよう、っていうんだろうか? 俺は、周囲を見渡した。誰もいない。
 そう、「誰もいない」のだ!
 いつもなら、公園内に誰もいなくても、通りには誰かしらいるもんだし、近くのマンションとか商店にも、人影があるはずなのだ。
 それだけじゃない、なんの音も聞こえない!
「なんで、『誰もいない』んだ!?」
 そのことに気づいたとき、静かに、俺の心の中に、恐怖のようなものが忍び込んできた。
 まるで、世界にいるのは、俺一人であるかのような、妙な錯覚。ただ一人、何かに取り残されたかのような孤独感。
 そして。
 すべてから隔離されてしまったかのような絶望感。
 思わず、俺は走り出していた。そして、公園を出たとき。
「どうしたの、和磨くん?」
 そこにいたのは、由梨だった。通りの騒がしさも、俺の耳に届いてくる。
「あ、ああ、なんでもない」
 不安とか、恐怖とか、いろんな思いで高鳴る鼓動を隠しつつ、俺はそう答えた。
「ふうん。ねえ、今夜、晩ご飯とか、ある?」
「……作りに来てくれるのは有り難いけど、カレーとクリームシチューと、ラーメンしか、メニューがないのは、ちょっとな。たまには、違うものが食いてえ」
 俺がそう言うと、「和磨くん、贅沢」とか言いながらも、由梨は手に提げた袋を見せる。
「カレーうどん、とか、どうかな?」
 ……。
 断る理由ねえし。


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