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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第27回 trois−12
 パピヨンの胸には、苦いものしかない。
 彼女の世界の鞠尾和磨は、愛する者と結婚した。だが、直後、彼は、彼女のことを捨てた。何があったか、詳しいことまでは調べていない。だが、それが「愛する者を否定」することになり、結果として「自分が愛する者のヴァージンを奪った」という想い出をも否定することになった。
 大事な想い。
 それもまた、トレゾーに指定される条件だ。
 そして、パピヨンが「結ばれたい」と願っている男は、鞠尾和磨が愛した女性を大事に想っていた。
 そう、パピヨンもシャットも、その男性と結ばれんがため、その男性が欲している、いくつもの「属性」を手に入れようとしているのだ。
 だが。
 その属性を手に入れるということは、誰かの大事な想いを盗むことでもある。
 
 つまり。

 鞠尾和磨は、愛したあと、必ず、吾妻由梨を捨てる。

 世界が融合へと向かっている以上。
 パピヨンたちの世界での鞠尾和磨が、愛する女性……沢渡美春を捨てた以上。
 必ず、和磨は由梨を捨てる。
 捨てたからこそ、その想いは平行世界へと流れていった。
 その想いは、こちらの世界の和磨が手に入れる。
 もしかすると、ヴォラールが盗まなければ、こちらの世界の和磨は由梨を捨てることはないのかも知れない。
 いや、世界が融合へと向かっている以上、辻褄を合わせるために、必ず、そうなる。
 その先に待つ悲劇を、パピヨンはあえて無視している。
 ふと、カーブミラーに自分が映っているのが見えた。
 不機嫌そうな顔をしている、蝶の仮面をつけた少女が映っている。
「……何をしようとしてるのかしらね、あたし?」
 鏡の中の少女が、いっそう不機嫌な顔になった。


(パピヨンは、ご機嫌ななめ trois・了)


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