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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第21回 trois−6
 ここで、彼女たちが言う「盗む」と「借りる」の違いについて、簡単に説明しておく。
 彼女たちは、全次元の根幹データベースであるアカシックレコードを知覚し、またそれに干渉することで、様々な行動をとることができる。「盗む」のは、アカシックレコードを経由して、その情報……「エッサンス」を獲得することだ。アカシックレコードというワンクッションが入る分、完全に理解・習得するのに時間がかかるが、一度獲得したら、それを手放しても、ある程度は使うことができる。もっとも、「習得」の対象は何らかの技能に限られるが、身体能力の範囲内であれば、返しても、それに似たことができる。
 ただ、すでに誰かが盗んでいた場合、あとから来た者は盗むことができない。理由はわからないが、同じ情報を本人あるいは本体以外に複数の人間が共有すると、複数のヴォラール間で、質的変化が起こり、ある種の「分岐」が起こるからではないか、とパピヨンは考えている。だからこそ、もとの所有者がいる場合、あとで返さないと、ややこしいことになるのではないかと、パピヨンは考えている。
 一方、「借りる」のは、誰か、あるいは何かの情報を、そのものの霊体からダビングすることに、概念は近い。
 だから、アカシックレコードという、ワンクッションを置かない分、早く理解・習得ができる。しかし、人間というのは、時々刻々と変化する。だから、毎日のようにアクセスしないと、矛盾等が生じる。例えば、数時間前にある人物の「エッサンス」を借りたものの、その人物が傷を負った場合、その情報を更新していないと、不自然に思われてしまう。
 パピヨンと由梨の関係で言えば、当初、パピヨンは由梨の「エッサンス」を借りていた。それにより、「我妻由梨のような人」という認識を与えることができ、無意識のうちに「家族構成とか、経歴とか、世の中にはそっくりな人が存在する」と思わせていた。
 ただし。この場合、毎日、更新しないと、ほころびが生じる怖れがある。


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アクセス: 2016