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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第12回 deux−3
 溜息をついて川平は言った。
「詳しく話すと、いろいろと因果律が変わってしまって、『トレゾー』が予定通り現れない可能性があるの! わかんなさいよ!」
「だから! お前と違って、こちとら、普通の高校生なんだ! わかりやすく話せっての!」
 しばらく俺を睨(にら)んでいた川平だが、諦めたのか、また、大きく溜息をついた。
「しょうがないか。じゃあ、話せそうな範囲でだけ。あたしの世界と、こっちの世界の時間スピードが違うのは、話したわよね?」
「ああ。なんか、感じとしては、こっちの方が百倍ぐらい速いんだよな?」
「それは、正確じゃない。平行世界間の時間スピードって、結構歪んでて、一定じゃないんだけど……。これは話すと長くなるから、あとで。だから、とりあえず、前提として『世界が分岐すると、その辻褄(つじつま)合わせが起きる』っていうのを前提にしておいて?」
 また、何やら難しい話を。
「世界の分岐」とか「辻褄合わせ」とか、専門用語、使うなってーの!
 しかし、ここでいちいち聞き返すと、それこそややこしい話になりそうだから、とりあえず、俺は頷いておいた。
「『あたしの世界の、君』は、こっちの世界にいる君よりも、ちょっと年上なの。なんで、そういうことになってるのかっていうのは、これもややこしいから、簡単な説明だけ。『ある選択肢』を『選んだとき』……例えばAの世界と、『選ばなかったとき』……Bの世界とで、結果が違っても、いずれは同じ『道』になる……融合することがあるの。その際、Aが二年後、Bが十年後にその『道』になるときは、Bの世界の時間が速く流れてAの世界に追いつこうとする。単純にいえば、Bの世界の方が、Aの世界の五倍、時間が速く流れるの」
 え、と? 早くも、こんがらがってきたんだけど?
 そんな俺に構わず、川平は続ける。
「その結果、Bの世界では、十年かけて起こる出来事が、二年間に圧縮されて起きてしまうの。これまで、あたしが見てきた限りだけどね。そして、その際に『辻褄合わせ』が起きる」
「……で? その辻褄合わせって?」
 もういいや、「そういうもの」ってことで話を聞こう。
「もう、わかったと思うけど」
「だから、わからねえって!」
 ふう、なんて溜息をついて、川平が続ける。
「こっちの世界は、今、あたしの世界に追いつこうとして、ものすごい速さで時間が流れてる。ただ、世界にはいろんな人間、いろんな事情がある。だから、加速してしまったときに、不都合が起きることがあるの。両方の世界で、十二月に出会ってカップルになるはずの男女が、加速の影響で片方では三月に出会ってしまって、しかも男女どちらかにつきあっている人がいて、三角関係になって。それで、その男女がカップルになれなかったら、世界は融合しない。そうならないよう、時間の流れが歪んで、一時的に、お互いの世界で時間の進み方が変わるの。ていうか、そのせいで、二つの世界間での、時間スピードが変わってしまうの」
 ……。
 ええっと?
 まあいいか、話の先を聞こう。


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