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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第10回 deux−1
「ねえ、和磨くんのクラス担任の白根(しろね)先生なんだけど」
 と、その朝、由梨(ゆり)が言った。
「おう。どうかしたか、こずえちゃんが?」
 俺たち二年二組のクラス担任は、白根(しろね)香澄恵(こずえ)っていう、今年で自称二十五歳の、ショートカットでナイスバディの先生だ。ちなみに、三年の先輩の話では、去年も「今年で二十五歳」って言ってたそうだ。
 まあ、それはいいか。
 俺たち生徒は、白根先生のことを「こずえちゃん」って呼んでる。秘密じゃなくて、こずえちゃんも知ってるし、休み時間とか、女子は平気で「こずえちゃん」って呼びかけてるが、それはこの際、どうでもいい。
「ゆうべなんだけどね? 近所のコンビニに行ったとき、見かけたの。その時、なんだか、雰囲気が違ったの」
「ふうん。普段着だったから、とか?」
「ううん。そうじゃなくて。……うまく言えないんだけど、いつもと違ったのよ」
「コンビニ、って。『キャドー』だよな?」
 由梨が頷く。こいつの家と俺の家は隣同士だ。だから、近所にあるコンビニなら「キャドー」ってことになるんだが。
「確か、こずえちゃんの住んでるマンションって、学校挟んで、正反対の方角だよな? なんで、こっちの方に来たんだ? ……まあ、個人の事情は、それぞれだ。気にするほどのことでもねえさ」
 俺がそう言うと、由梨は、いかにも不承不承そうに頷いた。何が気になってるんだろうな、一体? 学校とプライベートとで印象が違うって、そんなの、普通じゃねえか。
 正門が見えてきたとき。
「お弁当(べんと)持って、図書室前で待ってるからね」
 由梨が微笑んだ。
「……おう」
 ちょっとだけ、嬉しかった。
 もっとも、「それ以上」じゃあ、ねえけどな。
 もっと言うと。

 正直、どうでもいいな、こいつの弁当。


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