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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第1回 un−1
まえがき
 あるサイト様で連載させていただいた作品ですが、こちらにご縁のある作品です(「あとがき」で、説明させていただいてます)。アチラでは不規則な形での連載だったので、一〜三章までと、それ以降のノリが少し違うんですが、ご了承ください。ちなみに、最後の方で、ちょこっとだけ、加筆してますので、「アチラのサイト」で、お読みいただいている方も「あれ? こんな一節、あったっけかな?」になってしまってます。ご了承ください。


un−1


 俺が住む「館端(かんたん)市」では、五月半ばの今、ちょっとした騒ぎが起きていた。「マンガみてえ」って思われそうだけど。「怪盗パピヨン」っていう、泥棒が出没しているのだ。
 マンガみてえ。
 目撃者の話だと、なんだか、羽を広げた蝶(ちょう)のような形をした仮面(ペルソナ)……「ペルソナ」っていうのは、目の周囲をおおう形の仮面だけど……をつけているそうで、そのマスクに気をとられでもしてるのか、体格とかもろもろ、印象に残らないらしい。
 ちなみに、パピヨンのフルネームは「パピヨン・ノワール」なんだそうだ。これも目撃者が聞いたっていう話。
 で、パピヨンが何をしているのかっていうと。
 これがまた、よくわからない。ていうのも、「何が盗まれた」とかいうのが報道されないのだ。最初の頃こそ「市内の美術館とか、博物館とかに忍び込んだところを、防犯カメラにとられた」とか、「市内の、なんかのビルに忍び込んだところで、警備員さんと鉢合わせになった」とか、だったんだけど、そのうち「夜の公園でバッタリ出会った」とか、「夜の遊歩道でバッタリ出会った」なんてなものに変わってきた。
 だから、最初の二、三件が本物で、あとはコピーキャットって事になってるんだけど。まあ、そのあたりは、俺とは関係ないな。
 ついでに。
 実はパピヨンは「とんでもないもの」を盗んでるんだけど、法に触れるとか、企業秘密だとかで、おおっぴらにできない、っていう噂も流れてる。
 マンガみてえ。

「おはよ、和磨(かずま)くん。起きてる?」
 その朝、玄関ドアが開いて、一人の女子が入ってきた。髪は肩ぐらいまで。薄茶色のジャケットに白いブラウス、ワインレッドのリボン、グレンチェックのプリーツスカート、水色のソックス。
 小学校からの腐れ縁で高校の隣のクラス、隣の家の吾妻(あがつま)由梨(ゆり)が、俺を迎えに来た。
「起きてるって。ていうか、俺、ちゃんと、着替えて玄関に立ってるじゃねえか」
 俺は、鞄を肩に担ぎ、玄関を出た。
 施錠していると、由梨が俺を見ながら言った。
「よしよし、感心感心」
「……どこかの幼馴染みが、毎朝、六時半から、三分おきに、しつこくモーニングコールしてくれるおかげで、朝早く、起きざるを得ないんだ。ありがとな!」
「どういたしまして!」
「……皮肉だ、わかれ、バカヤロウ」
 俺がそう言うと、由梨が笑って言った。
「私、おじさんとおばさんにお願いされちゃったもん。自分たちが遠方に赴任(ふにん)とか出向(しゅっこう)とかしている間、和磨くんの生活を頼むって。ついでに、お姉さんも、今、出張に行ってるんでしょ? 和磨くん、普通に、社会生活送れるほど、しっかりした人間じゃないし」
「お前、俺をどんだけダメ人間だと思ってるわけ?」
 バスに乗って、そんな感じの話をしていると、十分ほどで学校に着いた。そこで、一人の女生徒に出会った。


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