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作品名:今日も杏とて。継 特傳之壱 作者:ジン 竜珠

第1回 特傳之壱・壱
 連休最終日、その前々日の夜に姉貴が帰ってきたんだが、どうも様子がおかしい。
 例えば。

「ね、竜輝。たまには、一緒にお風呂に入ろうか?」
「はあ!? 何言ってんの、姉貴!?」
「いやあ、ほら、さ。一応、あたしと竜輝って、姉弟(きょうだい)だけど、姉弟じゃないし」
 晩飯食ったあと、何か面妖なことを言い始めた姉貴だが、珠璃が「竜輝、この間から始めた『錬功』なんだけど、改良する必要があると思うんだ」と、割り込んできたら、妙なセリフを残して、引き下がった。
「さすが、珠璃ちゃん。あたしのことを見越して、さりげなく邪魔するために、新しい修行プランを作ってたのね」

 例えば、その夜遅く、俺が部屋にいると、姉貴が入ってきて。

「竜輝。あなたも随分、修行が進んだし、そろそろ、房中術の実践に入った方がいいと思うの。相手なら、あたしがするから」
「え? でも、爺さん……じゃねえ、宗師の許可がまだ下りてねえと思うけど?」
「問題ないわよ。大体、あたしって、『そのため』にいるんだし。時期の見極めは、傍にいるあたしにだって、できるし」
 姉貴がそう言ったとき、携帯が鳴った。
「悪い、姉貴。電話が入ったから」
 残念そうな表情になって姉貴は部屋を出て行った。
 ちなみに電話をかけてきたのは、風呂に入っているはずの珠璃だ。
「お前、風呂から電話かけてんの? 何やってるんだ?」
『うん。なんとなく、電話をかけた方がいいな、って思ってさ』
「なんだ、それ?」
『いつもの如く、直観だと思ってくれていいよ。ところでさ、ボク、今、湯船に浸かってるんだ』
「そうか。で、それがどうかしたか?」
『ボクさ、体が濡れてるけど、竜輝のことを想うだけで、体の『中』も濡れてくるんだ』
「……痴女の相手をしてるほど、ヒマじゃねえんだ。電話、切るぞ」

 と、まあ、こんな感じで、姉貴の様子がおかしい。
 ……いや、今、思ったけど、珠璃もなんか変だな。
 ホントに、なにがあったんだ? こういうとき、珠璃の百分の一でもいいから、勘の鋭さがあればなあ、と思う。
 そんなこと思っていたら、携帯が鳴った。
「……杏さんか」
 今度は、なにに巻き込む気なんだかな。
 勘が鋭くなくても、さすがに警戒するぞ?
 俺は、小さく気合いを入れて、電話を取った。


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