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作品名:今日も杏とて。継 弐之章 作者:ジン 竜珠

第4回 弐之章・肆
 なんか、二人して話、してるな。
「庸治さん、結局、何だったの、その、二人組の女の子?」
「さあ? なんか、『スピリチュアルの事務所の営業活動』とかって、どう考えても強引な理由つけてたから、なんかのスピリチュアルの商品でも売りつけるのかと思ったんだけど。うさんくさいとは思ったんだけど、なぜか『話を聞かなきゃいけない』って思っちゃってさ。『災難よけのために、遠回りした方がいい、とアドバイスに来た』ってだけだったみたいだし、無料だったし。ついでに言うと、なぜか『言うことを聞かなきゃいけない』って思ったんだよなあ」
「で、何か、効果、あったのかしら?」
「効果といえるかどうかはわからないけど。いつも流美(るみ)の家に向かう道路で、事故があったらしい。ラジオの臨時ニュースで聞いたけど。もし、その道を車で走ってたら、俺も事故に巻き込まれて、もしかしたら、俺も怪我してたかも知れないし、渋滞に巻き込まれて、もっと時間がかかってたかも知れないな。今思うと、彼女たち、事故が起きることを何らかの方法で知って、善意で俺に知らせに来てくれたのかも知れない。それで、強引な理由をつけたのかも」
「ふうん。変わった子たちだね」
「ほんと。でも、名刺とか、チラシとか、もらっておけばよかった。そしたら、お礼に行けたのに」
 遠回り? それで、遅くなったのか。まあいいさ、計画実行だ。
 まずは、智夏子の注意を庸治たちに向ける。
「あ。庸治さ……」
「ああ、宇津さん。どうしたの、こんなところで?」
 お。智夏子が硬直してる。早速、一緒にいる女が気になるか。よし、第二段階。
「なに、庸治? お知り合い?」
「ああ。同じ職場の人なんだ」
「そう。……初めまして、江田流美(えだ るみ)っていいます」
 智夏子のやつ、ショックを受ける寸前だな。さあ、もう一押し。
「よ、庸治さん。もしかして、その人……」
「え? ああ。つき合ってるんだ。ゴメン、流美の希望でさ、黙っててくれるかな?」
 智夏子の心に、ヒビの入る音が、はっきりと聞こえた。本当なら、ここで庸治に「お前になんか、興味は抱けない」とか、ダイレクトに「好きになれない」みたいなことを言わせて、智夏子にもっとダメージを与えるつもりだったんだが、こう太陽エネルギーが強くちゃ、そこまでできない。
 でも、ここまでダメージを与えられれば、あとは楽だ。智夏子の心の傷に、俺の指をえぐり込ませて、少しずつ、その傷に力を加えてやる。そうしたら、まるでガラスが割れるみたいに、ある日、突然、智夏子は、壊れる。
 気がつくと、庸治とその恋人は姿を消していたが、まあいいか。
 さて、と。もうちょっとダメージを与えようか。とりあえず、ここにいる適当なやつに「運命なんて、そんなものはない」って言わせよう。さあ、誰がいいか。
 ん? 智夏子のやつ、お守り袋なんか開いてどうする? ああ、そういやあ、「泣きたくなったら、中のものを出して、紙に書いてあることを、声に出して読め」って、あの女に言われたんだっけな。


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