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作品名:今日も杏とて。継 壱之章 作者:ジン 竜珠

第2回 壱之章・弐
 鞄を持ってバスに乗ると、俺の座った座席の後ろから声がした。
「せや。途中で、あのショップに寄ってみぃひん? 時間もあるし」
「そうですね。ボクも、そんな気分だったんです」
 声の感じからすると、朝方、バス停で会話してた女のコたちだ。そうか。たまたま同じバスに乗り合わせたか。
 ……あれ? さっき、俺がバスに乗るとき、あの子たち、いなかったはずだけど? まあ、よくあることか。彼女たち、俺が乗る手前のバス停で乗ってたんだろう。
 でも、「あのショップ」って、どこだろう? ちょっとだけ興味を覚えて、俺は二人の会話に聞き耳を立てた。
「ボク、思うんですけど。やっぱり、『根っこ』って、大事なんですよね?」
「せやなあ。『根っこ』が大事やなあ。『根っこ』がしっかりしとらんと、葉ぁも枯れてまうし、花も咲かへん」
 根っこ、葉、花。察するに、園芸店かな?
「よう聞いて欲しいんやけど。根っこさえしっかりしとったら、必ず花は咲くし、実ぃも実る。すぐには、どうこうならんかも知れんけど。必ず、花、開く」
 ……。
 花が開く……か。
 俺はどうなんだろうな?
 確かに植物なら、そういうこともあるだろう。でも。
 もともと、花が咲かない植物とか、あるんじゃないか? 例えば、野菜とか。
「あ。次の停留所ですよ」
 この声は、ショートヘアの方の女の子だ。
 降車ボタンが押されたらしい。次に止まるという、音声案内が流れた。
 その時。
 俺の目に、あるものが入った。
「夢・未来アート展〜小さな未来のつむぎ手たち」っていう、横断幕だ。どこかのデパートの催し物らしい。
 夢……か。
 電車の時間には余裕もあるし、ちょっと見てみようかな?
 なんで、そんな風に思ったのか、わからないけど、俺もその停留所で降りることにした。

 停留所から歩いて三分程度のところに、バスの窓から見えたデパートがあった。その最上階……っていっても三階だけど……で、その催し物があるらしい。
 その催し物は、まあ、ぶっちゃけていえば、小学生による「僕の夢、わたしの夢」っていう絵画展だ。
 ……タイトルって大事だよな。「夢・未来アート展〜小さな未来のつむぎ手たち」っていうタイトルから俺が連想したのは、ストレートに「新進気鋭のアーティストによる未来予想図」とか、まだ世に出てない「イノベーションの見本市」 とか、将来有望な起業家のプラン発表会みたいなものだった。
 考えすぎたな。普通、こういうデパートでやる事っていったら、相場は決まってるじゃないか。
 催事場から帰ろうとしたとき、入り口近くにある一枚の絵が俺の目に入った。


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