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作品名:今日も杏とて。extra episode.2 作者:ジン 竜珠

第2回
 部屋を出てキッチンへ行き、晩飯の支度をしていると(我が家は、今は当番制になっていて、今夜は俺の番だ)、珠璃がやって来た。
「竜輝、ちょっといいかい?」
 珠璃が、何となくいつもと違う雰囲気をまとわせて、俺に言った。
 なんか、様子が違う。うまく言えねえけど、コイツらしくねえ。どこか、硬い。表情も、声も。
「どうした?」
 俺が言うと、珠璃はちょっとだけためらったように、うつむく。しかし、すぐに顔を上げて、俺を見た。
「ボクがこんなことを言うのは変かも知れないけど、杏さんの話、真剣に聞いてあげて欲しいんだ」
「なんだ、それ?」
 ちょっとだけ唇を噛むと、珠璃は言葉を絞り出すように言った。
「よくはわからないけど。でも、杏さんが竜輝に話すこと、決していい加減な気持ちで聞いちゃいけないような、そんな気がするんだ」
「……なんか観じてるのか?」
 俺が聞くと、頷いて、珠璃は言った。
「今の時点でボクが観じていることだし、はっきりとはわからない。だから、もしかしたら、いつものように何か企んでいるのかも知れないけど」
 なるほど。俺が杏さんと会うことを直観して、その時に、杏さんが俺に、何か話をするだろう事がわかって、それが多分、重大な「何か」をはらんでいるんだろうって事を観じているってわけか。
 コイツの直観力は、正直なところ、人間のレベルを超えてる。もちろん、百パーセント完璧に、その事態の本質や推移を掴んでいるわけじゃねえし、時々、トンチンカンな方向に行くこともある。……まあ、この「トンチンカン」な方向へ行った一件については、いつか話すことがあるかも知れねえ。
 それはともかく。
 真剣な調子の杏さんの言葉、そして珠璃の直観。
 これを合わせて考えると。
 もしかすると、何か重大な事件、その予兆みたいなものが起きるのかも知れねえ。


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