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作品名:今日も杏とて。episode.6、out of numbers.3 作者:ジン 竜珠

最終回 out of numbers.3−4
 その時。
「あの。奥様」
 と、住み込みのお手伝いである頼恵が、胡桃の背後から室内に声をかけた。
「どうしたの、頼恵さん?」
「杏お嬢様から、お電話がかかっておりますが。なんでも『お急ぎ』だとか」
 胡桃のことは気になるが、杏の電話も気になる。何せ、杏には予知能力があるのだ。もっとも、彼女が視る未来は、必ずしもその通り実現することはないそうだが、これまでのことを振り返ると、かなりの確率で、実現している。
 その彼女が「急ぎ」だと言っているところに、少しばかりの不安を覚え、仙滿は居間に転送されてきた電話を取った。
「どうしたの、杏ちゃん?」
 声に、少しばかり不安がにじんだのが、自分でもわかる。
『おばさま。いきなりお電話して、申し訳ありまへん。緊急やったさかい』
「本当にどうしたの?」
 とんでもない事態が勃発するのかも知れない。そう思いながら、仙滿は先を促した。
『細かいところまでは視えへんかってんけど。本日、竜輝はんのお嫁さんのお話を、どなたかとなさるんは、控えられた方がええと思います』
「……ええと。どういう意味かしら?」
 杏が何を言わんとしているのか、さっぱりわからない。
『ウチにも、詳しところまではわからんのどすが。ただ、そのお話をなさることで、何かが「乱入」してきて、それが後(のち)に、いらん火種になるんが視えましてなあ。もっとも、その火の粉がかかるんは、竜輝はんですさかい、竜輝はんさえ構わんかったら、それでええんやけど』
「……杏ちゃん。電話してくれたのは嬉しいんだけど。せめて、三十分、ううん、十五分早く、電話してくれたら、助かったかな」
『え? どういうことどすか?』
 不思議そうにする杏の声に、仙滿は、溜息をつくだけだった。


(今日も杏とて。out of numbers.3・了)


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