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作品名:今日も杏とて。episode.6、out of numbers.3 作者:ジン 竜珠

第2回 episode.6−2
「紗弥はんの仰ることは、まあ、ちょっとは、わかります。でも、程度問題や思いますし、個人的には、ウチ、こういうカッコは、あまり、したぁないんです」
「却下!」
「……いや、もうちょっとウチの言い分も聞いて欲しいのどすが」
「個人的事情以外に、合理的な言い分があったら、聞いてあげるわよ?」
 まるで「そんな言い分など、あるはずがない」と確信したかのような笑みを浮かべ、紗弥は杏を見る。
 案の定、杏は困ったような表情で口をつぐんでしまった。
 いつもは珠璃たちを振り回しているあの杏が、内容はどうあれ、紗弥にやり込められている!
 初めて見る光景に、珠璃は、ちょっとした感動さえ覚えていた。

「仕事があるから」と、紗弥が帰っていったあとで、珠璃は学園の制服……学園からここに直行したので……に着替えた。今日は、このあと、学園の生徒がやってくるのがわかっている。個人の特定までは出来ないが、なんとなく「誰か」が来そうなのがわかるのだ。だから、本当ならこの場を去るのが無難だが、なんとなくここに残って、その生徒が相談する内容を聞いた方がいいような気がしている。だから、何か言われたら「迎えの来るのが遅くなっている」とかなんとか、苦しかろうとどうだろうと、適当な言い訳をしようと考えている。
 果たして、午後七時。一人の男子生徒がやって来た。
「あれ? キミは確か演劇部の、妹尾(せのお)くんだったよね?」
 入ってきたのは、演劇部部員の妹尾充幸(せのお みつゆき)だった。
「ああ、生徒会長か。ここで、何してるの?」
「ボク、ここでバイトしてるんだ」
「へえぇ。……あれ、もう、七時だけど?」
 やっぱり気づいたか。そう思って、珠璃は予定通り「迎えが来ることになっているが、まだ来ないので、待っている」という言い訳を展開した。
 それに納得すると、充幸は珠璃に促されるまま、相談スペースのソファに腰掛けた。

「本当は、ここで相談するべき内容じゃないんだけど、天宮先輩がバイトしているっていうことだから。それに、天宮先輩の占いの腕って、相当すごいって聞いたから、何かいいアドバイスでももらえるんじゃないかなって思ったんです。ご迷惑かも知れませんが」
 それを聞き、杏が柔らかな笑みを浮かべた。
「気にすること、おへんえ? かわいい後輩の頼みや、なんでも相談しておくれやす」
 安堵の笑みを漏らし、充幸が話し始めた。


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