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作品名:神氣学園Saga 「BS(Before Season)」U 作者:ジン 竜珠

第2回
「もっとも、ハーレムっていったって、放課後に集まって騒いだり、休みとかに一緒に、どこかへ遊びに行く程度のものだけどね。でも、必ず作ってみせるよ、美少年と美少女による、酒池肉林のハーレムをね!」
「美少女って……。美少年は、まだわかるが……。そうか、お前、そういう性癖だったか。髪は長ェが、ボーイッシュな、その見た目のせい……じゃねえな。純粋に、お前の人格的なものだ」
 竜輝が呆れたような顔になる。
 それを見るのが、なんだか楽しい。よく「好きな子ほどいじめたくなる」という話を聞く。それがどうにも理解できなかったが、こういう心境であったか、と、珠璃は心中(しんちゅう)、頷いた。
「だからさ。もし、ボクが勝ったら、おとなしくボクのハーレムに入ってもらうよ?」
「お前なあ。……じゃあ、俺が勝ったら?」
「そうだねえ。……じゃあ、特別に、ハーレムの筆頭として、ボクの隣に座る権利をあげるよ」
 本当は「別のモノ」を「あげる」と言いたかったが、さすがに言えなかった。
「……そんなん、どうでもいいが、とりあえず、この場でお前の性根をたたき直す!」
 困り切った表情で、竜輝が宣言してきた。
 それを聞き、嬉しい気持ちがわき起こるのを感じながら、珠璃は霊氣を全身に巡らせる。
 本当は、ハーレムなんか、どうでもいいのかも知れない。ただ、竜輝と同じ時間、同じ空間を共有できない寂しさを埋めたいだけなのかも知れない。
 だが、珠璃がそこまで思い至るより早く、竜輝が反応した。
「お前、それ……」
 と、竜輝が目を見張る。そうだろう、今、自分の見た目は、大きく変わっているのだから。
 珠璃自身、確認したことがあるが、肉眼でもはっきりと見える、「ある変化」が生じているのだ。髪は金色になり、瞳は燐光を宿している。このような変化が起きる原理は、自分自身にもわからない。どうやら実際に変色しているのではなく、そのように見えるだけのようだが、それでも、不思議な現象であることには間違いない。
「驚いたかい? 去年の夏は未完成だったけど、どうにか実戦に耐えうるレベルにまでできたんだ」
 その言葉に、竜輝の口元に笑みが浮かぶ。
「おもしれえ。それじゃ、俺も思いきり、やらせてもらうぜ!」
 どうやら、竜輝にも、今の珠璃がいわゆる「リミッター」を外した状態であることがわかるらしい。
 そうして、二人は激突した。

 珠璃の跳躍は、まるでカタパルトで撃ち出したかの如く、間合いを詰める。それを予測していたかのように、竜輝は軸線をずらし、珠璃の腕を掴む。そのまま押さえ込もうとしたようだが、珠璃はそれを力で振り切った。そして、バックステップをかけ、一気に三メートルの間合いを取る。
 それと同時に、上方向へダッシュをかけ、竜輝の背面に回り込む。竜輝はそれをも見抜いたようだが、珠璃はそれを逆手に取り、あえて、懐へ飛び込んだ。
 だが、今度は竜輝の方が力で押さえ、投げ飛ばす。
 空中で身をひねり、着地すると同時に、またダッシュをかける。だが、今度は直線ではなく、曲線移動だ。予想した軌道上に珠璃の姿をとらえることができず、竜輝がうろたえた。彼も、まさか、珠璃がこのように高速で曲線的に動けるとは思っていなかったのだろう、明らかに狼狽した様子で、防御態勢に入った。
 実は、珠璃がやっているのは曲線的な移動ではない。仮想の中心点を作り、それを元にドーム状の力場を作って、その上をなぞる、あるいは、直線移動を小刻みに繰り返して、あたかも曲線的な移動をしているように見せているだけなのだ。
 これで翻弄し、竜輝に隙を作ることができれば。
 そう思い、珠璃は、時に仕掛け、時に周囲を移動して、竜輝を攪乱した。
 だが、不意に、竜輝の口元に不敵としかいえない笑みが浮かんだ。
 嫌な予感がした。
 そして、その予感は的中した。竜輝を中心として、半径七、八メートルの範囲の「地気」が噴き上がったのだ!
 仮想中心点が消滅し、直線移動の繋ぎ目に外圧がかけられた。
 つまり、彼女の移動は直線に戻されてしまったのだ。
 そうなれば、容易に「弾道」は予測される。ならば。
 珠璃は全身の氣を巡らせて、渾身の一撃…体当たりを放った。それを受け止めた竜輝の顔が一瞬、苦痛に歪んだようだが、それでもそれを受けきり、竜輝は珠璃を抱えて、彼女を地に叩きつけた。


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