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作品名:神氣学園Saga 「BS(Before Season)」 作者:ジン 竜珠

最終回
「ウチな、毎月初めに占いをして、その結果を宗師にご報告してますのや。それで、ここで何かとんでもないことが起きるのがわかりましてなあ。ただ、具体的には視えまへんけど」
 具体的に視えない。彼女の論法に従えば、その「とんでもないこと」は変更不可能、つまり必ず発生するということだ。
「でもな」
 と、杏が口元に笑みを浮かべた。
「その周辺を変えていけば、もしかしたら、そのものごとも、視えるようになるかも知れまへん」
「なるほど。小さいことを変えていけば、大きいことにも影響を与えうるってことですか」
 珠璃の言葉に、杏が頷いた。
「それでな。早速、今夜、妙なことが起きますので、お手伝い、お願いできまへんやろか?」
「手伝い?」
 杏がいきなり、妙なことを言い出した。
「妙なこと、とか、手伝い、とか、何のことですか?」
 すると、杏が何かを企んでいそうな笑みを浮かべた。
「あんさん、今、言いましたやんか。『小さいことを変えていけば、大きいことにも影響を与えられるかも知れん』て」
「ええ。確かに言いましたけど?」
「せやから、『そういうこと』なんや!」
「ですから、『どういうこと』ですか?」
 この女生徒、笑顔だが、妙な気迫を漂わせてくる。思わず、声がうわずるのを感じながら、珠璃は言った。
「ボクたちは、高校生ですよ?」
「でも、神仙道の道士やろ? 普通のお人と違います。せやったら、世のため人のため、持てるお力を発揮するのが、おつとめです」
 笑顔なのに、有無を言わさぬ迫力があった。
 知らず知らずのうちに、珠璃は頷いていた。

 その夜、学園の警備担当者の認識をねじ曲げて、敷地に侵入し、グラウンドに魔方陣を描こうとしていた男を、「空から」学園に侵入しておいた珠璃たちが捕らえた。
 しかし、そこへ学園の教師・碧海凉(あおみ りょう)が駆けつけ、その男の身柄を押さえた。
「杏が転校してきたんで、何かやらかすんじゃないかと、マークしておいて正解だったよ。こいつの予知と行動力は、半端じゃないからなあ。なんか視えたら、まず、あたしに報告しろ。わかったな?」
 と、凉がボヤいていたから、どうやら、この杏という女生徒、いわゆるトラブルメーカーなのかも知れない。
 その時、珠璃は直観した。
 これから先、自分はこの女生徒に振り回されるようなことになるのだろう、と。

 なお、翌日、珠璃たちは、凉に呼び出された。
「魔方陣の件は、実は前からあった。あたしと、ここの理事長の秘書をやってる紗弥(さや)と二人で、夜とか朝早く来たりして、消したりしてたんだ。それでも、何人かの先生方や生徒には見られたようだがな。これからも同じようなことが起きることが十分有り得るが、これについてはあたしの方で対処する。そういうエキスパートな専門家たちがいる。あたしも、その一人だ。だから、高校生であるお前らは関わるな。これは宗家からの正式な命令だ。いいな?」
 その後、九月末に響堂零司(きょうどうれいじ)が転校してきたり、翌年四月には佐久田鷹尋(さくた たかひろ)、橘麻雅祢(たちばな まがね)が入学したり。
 そしてさらに五月に宗家の最終兵器・天宮竜輝(あまみや りゅうき)が転校してくるのだが、それはまた、別のお話。


(神氣学園Saga BS(Before Season)・了)


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