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作品名:神氣学園Saga 「BS(Before Season)」 作者:ジン 竜珠

第2回
 放課後のことだった。鬼城珠璃(きじょう じゅり)は、本校舎の屋上で、新輝学園の「氣」を探っていた。その年の五月に転校してきて、夏休みを過ぎ、もう九月初旬。「何か」がおかしいことは、わかっていた。だが、具体的には、つかめない。
 確かに、この学園には異常ともいえるほどの数の「奇現象」がある。ダブっていると思われるものもあるので、正確な数ではないが、調査の必要を感じて簡単にリストアップしてみたら、百近くあった。いくつかにあたってみたが、単なる勘違い・誤認、あるいは、誰かの発した「念」が集まって、変な形になっただけのものだったりして、今のところ、ここの「氣」の異常事態と、直接的な繋がりは見いだせていない。
 この「奇現象」のせいで、この学園の「氣」がおかしなことになっている可能性があるが、もともとここの「氣」がおかしいために、このように異常な数の「奇現象」が起きている可能性もある。
 そもそも、それを探るために、高校一年生の五月末という、中途半端な時期に、ここへ転校するよう、宗師から命じられたのだ。
 珠璃は、並外れたレベルの直観力を持っており、そのことは本人にも自覚がある。そして、一族の間でも、それは有名らしいから、その直観を使って、学園の異常を突き止めろ、ということなのだろう。
 だが、そもそも「氣」の状態がおかしいためか、深いところまで突き止めることができないでいる。
 海のある方角を眺めている時だった。
「ああ、あんさんでしたか」
 背後から、涼やかな声がした。
 振り向くと、五、六メートル先に、一人の女子。腰まであるようなロングヘアに、東洋的な面差しの、どこか「はんなり」とした感じの美女だ。学年章の色が青いから、二年生だ。しかし、これほどの美人なら、見覚えがないはずはない。
 そう、珠璃はこの女生徒を知らないのだ。
 珠璃が警戒していたからだろう、その女生徒が笑顔を浮かべて言った。
「前、お見かけした時は、御髪(おぐし)がセミロングやったさかい、もしかしたらお人違いかも知れへんけど。その澄んだ『氣』は、多分、間違いあらへん。あんさん、鬼城さんとこのお嬢さん、ですなあ?」
 この女生徒は、珠璃のことを知っている! これが、なお一層、珠璃の警戒感を強くした。しかし、同時に、この女性の持っている「氣」が、自分と同質の澄んだものであることも、珠璃には視えていた。
「ウチ、本日、こちらに転校してきた天宮杏(あまみや きょう)いいます。なにとぞ、よろしゅう」
 と、女生徒はお辞儀をする。
「え? 天宮、って? もしかして、宗家の関係の?」
 珠璃が修行している天宮流神仙道宗家の、分家筋は、いくつも存在する。珠璃の鬼城家も、その一つだ。
「ウチのおじいさまが、宗師の弟さんですねん」
 なるほど、と珠璃は警戒感を解いた。
 これほど澄んだ「氣」を持っていて、珠璃の素性を知っているということは、自分と敵対するような存在ではない、と判断したからだった。


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