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作品名:今日も杏とて。extra episode.1 作者:ジン 竜珠

第3回 3
 ちょっとばかり裏道の方へ入ると、そこはもう、俺の知らない道だ。さびれているとはいえないが、かといって、発展しているともいえないエリアだな。
「こういう道があったンスねえ」
 俺がそう言うと、珠璃も「ボクもこの道は来たことがないなあ」とか言ってる。
「ウチも、この道は初めてやなあ」
 杏さんが、辺りを見回しながら言った。こういう不慣れな道を歩くのは、結構、脳にいい。意外なところで知っている道に繋がったりするから、脳内の地図が更新されていく。
 しばらく歩くと、新輝学園演劇部のメンバーと出会った。五人ぐらい、いる。
「お。天宮くん。それに、生徒会長に、天宮先輩」
 確か、妹尾(せのお)っていったっけ? がっしりした体つきの男子部員が言った。
「ああ、妹尾くんか。どうした、こんなところで?」
「遅くなったけど、新入部員の歓迎会の場所を探してるんだ。ちょっとしたイベントもやるから、例年通り、体育館でってことだったんだけど」
 体育館で歓迎会か。演劇部は規模が大きいから、教室を二つ使ってるんだよな。ついでに言うと、シャングリラ一階にも備品なんかを保管しているし、備品保管専用に一つ、空き教室を占拠してる。
「バスケ部とか、バレー部とかの新人戦が近い関係で、使えないんだ。で、顧問の先生にお金出してもらったり、みんなで費用出しあったりしてどこかを貸し切ろうって話になってさ」
 そう言って、何かに気づいたように、俺に言った。
「そうだ。場所を探すついでに、どこかで遊んだり、飯、食ったりしようってことになってるんだ。一緒に来ないか?」
 ……。そうだな。いいかも。

 そう思って杏さんを見ると、ちょっと困ったような表情になってた。そして、
「お誘いは嬉しいのですけど、ウチらは、ウチらで用事がありますさかい、遠慮さしてもらいます」
 と、演劇部の連中に一礼した。
「そうですか。それじゃあ」
 と、演劇部の面々も俺たちに一礼して、去って行った。
 杏さんが俺を見た。
「すんまへんなあ。ウチ、賑やかなの、苦手なんや。それに、竜輝はんたちと、ゆっくりとした時間を過ごしたいしなあ」
 なるほど。杏さんらしい。俺は思わず笑みがこぼれてくるのを感じながら言った。
「そうですね。俺たちは俺たちで、ゆっくり過ごしましょう。……なあ、珠璃?」

 んで、珠璃を見ると、ほんのちょっと困ったような表情になってた。そして、
「……。うん、そう、だね。竜輝がいいなら、ボクも構わないし、麻雅祢ちゃんもいいなら、別に」
 と、麻雅祢に向き、顔を見る。
「あたしも賑やかなの苦手」
 と、珠璃に言ってから麻雅祢は杏さんを見上げ、頷いた。
 珠璃が、俺を見た。
「まあ、そういうことだから、杏さんにつきあうよ。ボクは賑やかなの、嫌いじゃないけど。ユルく過ごそうよ、今日は」
 なんだ、珠璃のヤツ、歯切れが悪いな? 演劇部の連中と、合流したかったのか?


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