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作品名:今日も杏とて。extra episode.1 作者:ジン 竜珠

第2回
「ま、まあ、こういうこともありますよ。ボクも、たまに日付とか間違えることあるし」
「そうですよ。気にすることないです」
 俺たちが杏さんのフォローをするなんて、はじめてだ。
 しばらくブルーになっていた杏さんだけど、気分を切り替えるように軽く気合いを入れると、笑顔になって言った。
「せやなあ。せっかくや、今日は、お買い物やら、お散歩やら、喫茶店でお茶やら飲んで、過ごしまひょ。竜輝はんたちさえよかったら、やけどな?」
 俺には異存がないが。
 珠璃を見ると、こいつも笑顔で頷いた。
 麻雅祢は。
 表情が動かねえから、さっぱりわかんねえが、コクって頷いたから、問題ねえんだろう。
 それを確認した杏さんが、笑顔になって言った。
「そうとなったら、今日は、ユルーリと過ごしまひょ?」

 シネコンを出てしばらくはウィンドウショッピングとか、自動販売機で買ったお茶やらココアやらを、公園で飲んだりとかしてたんだが、携帯で時間を見て、不意に、ベンチから立ち上がって、杏さんが言った。
「そや。ちょっと、目抜き通りから外れた通りを、歩いてみぃひん?」
「え? いいですけど? なんで、急に?」
 俺の言葉に、杏さんが、ちょっと首を傾げて言った。
「特に意味は、ありまへんえ? ただ、いつもいつも同じお散歩コースいうのんは、おもろないなあ、って」
 なるほど。確かに、たまに違う道を通ると、意外な発見とかあるしな。知らないうちに、新しい道が出来てたりするし。それに、恥ずかしながら、宝條って広いし、道が入り組んでたりするから、どこに何があるか、ここに来てから一年近く経つのに、俺、まだ把握できてねえし。
 珠璃は。
「ボクは、構わないよ。麻雅祢ちゃんもいいよね?」
 で、麻雅祢は。
 コクッ。
 ま、こいつの無表情は、いつものことだしな。


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