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作品名:今日も杏とて。episode.4、episode.5 作者:ジン 竜珠

第2回
 理美はだんだん饒舌になっていく。
「それなのに、全然、効果なし! バレンタインデーに、三年だった森之内(もりのうち)先輩に、チョコをあげる時に告白したけど、空振りだったし! もしかしたら、ホワイトデーとか卒業式の時に何かあるかも、って思ったけど、何にもなかったし! あの雑誌、大嘘つき! ていうか、あの神社、パワーないんじゃないの!?」
 うわあ、とうとう言っちゃった。そう思って、こっそり、相談スペースを視た。
 杏から、怒りのオーラが立ち上っていた。
「ということで、どこか、いいところ、知ってたら、教えてもらえませんか?」
 しばらく置いて。
「パワーストーンとか、パワースポットとか神社さんのご利益がどうとか。……人間の分際で、なに、神さんのランクづけしとんのや?」
「……は?」
 理美の、不思議そうにする声がした。
「あんなあ、パワスポとか、なんとかかんとかいうても、そのお人に『合う』か『合わん』か、いうことやろ? 百ワットのエネルギーが出せる装置に、二十ワットしか出せへん器具つけたら、回路が焼き切れてまうやん」
 無茶苦茶な喩えだとは思ったが、ここは聞いておくだけにする。
「大体な、一番ええのは、産土(うぶすな)の神さんとか、土地神さんとか、昔からお世話になっとる神さんに、ご挨拶に行くことや! そこにお伺いして、恋愛成就にご利益のある神社さんに詣(もう)でます、いうて、神さんにご挨拶申し上げるのが、筋やで!? 叶う・叶わん、いうのんは、そこから先の話や! まずは、その基本を押さえんと!」
 理美がどういう表情になっているか、珠璃の位置からは見えないが、さぞかし面食らっているに違いない。
「すんまへんなあ、もう店じまいですさかい、帰ってくれますか? そういうご相談は、ウチは専門外ですさかい、よそへ行っておくれやす」
 まだ、十一時三十分なのにそんなことを言うと、理美を追い返してしまった。
「珠璃はん。給湯室に、いてはるんやろ? ついでに、塩、一袋、持ってきてくれまへんか?」
 塩袋を持っていくと、杏は溜息をついて言った。
「ウチも、まだまだ、未熟ですなあ」
 この言葉には、実に「いろいろな」意味が込められているのが、珠璃にはわかった。
 そして、杏は一言、ボヤいた。
「せやから、ウチ、『スピリチュアル』いう言葉、使いとうなかったんや」


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