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作品名:今日も杏とて。episode.3 作者:ジン 竜珠

第1回
 そもそものきっかけが何だったのか、わたしには思い出せない。
 去年の四月に、市内でも有名な女子校に進学したのはいいんだけど、そこで、イヤなことが始まった。
 無視されるのに始まり、教科書を破られたり、カバンに変なものを入れられたり。ラインに妙なことを書かれたり。どこかにわたしの連絡先が書き込まれたらしく、イヤらしい電話とかメールとかが送られてきたり。
 アイコラなんか、まだかわいい方で、実際にわたしの着替えている写真が、妙なところに貼りつけられていたりした。
 もちろん、親にも警察にも相談した。そのおかげで、そんな行為はなくなってきたけど。
 でも、そういう問題じゃないよね。一度、発信されちゃったわたしの写真を、なかったことにするのは、難しい。実際、あれから、けっこう経つのに、いまだにわたしの変な写真が、ネットの何処かを漂っているらしい。
 時たま「それ」と、わたしとを関連づける人がいて、変な目で見られたり、声をかけられることもある。学校でも、いまだにわたしのことを変な目で見たりする人がいるし。
 もう、昔のものや、ことは消せないのかも知れない。
 だったら。
 今のわたしを消そう。
 もう疲れた。
 わたしは、隣の市、……千京市へ来た。ここの中心街にある雑居ビルに来て、屋上へ上がった。
 天気は快晴の、土曜日。時刻はそろそろ午前十一時。私は、私服でここへ来た。本当は、制服で来て「わたしがここで飛び降りたのは、お前たちのせいだ!」って、学校のあいつらに思い知らせたかったけど。
 でも、私服にした。理由はよくわからない。
 もしかしたら、制服で来ると、また、変なのに声をかけられるかも、って思ったからかも知れない。
 幸い、屋上へ通じるドアの鍵は開いていた。
 これって、神様がわたしの後押しをしてくれてるってことよね。
 わたしは、屋上へ出て、転落防止の柵へ近づいた。そしてそれを乗り越えようとした時、いきなり話しかけられた。
「なあなあ、もしかして、ここから、飛び降りるん?」


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