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作品名:今日も杏とて。out of numbers.1 作者:ジン 竜珠

第1回
 三年に進級し、福殿優流(ふくどの まさる)とは別々のクラスになったが、ま、こいつとはウマが合うからな。ちょくちょく顔を合わせてる。鳳美悠那(おおとり みゅうな)とは、引き続き、同じクラスだ。あいかわらず、スイーツ研究会のイベントに誘われてる。……こいつ、本気で俺をスイーツ研究会に入れるつもりかも知れねえ。

 その日、俺は昼休みに、屋上に上がっていた。天気もいいんで、何人か、チラホラ姿が見える。中には、ベンチで昼寝してる奴もいるんだが、どうも爆睡っぽい。昼休みが終わる前に、一声かけてやるのが、武士の情けかも知れねえな。
 俺は、自動販売機で買った緑茶のプルトップを開けて、一口飲んだ。
 今は四月の半ば。俺がここに来て、そろそろ一年になる。
 思えば、去年は密度の濃い年だったな。実家でしてた修行の、何十年かを一度に体験した気分だ。
 それは俺だけじゃない。珠璃や、鷹尋、麻雅祢、そして零司さんや杏さんも同じだ。この一年で、俺も含め、みんな、かなりレベルアップできた。やっぱり、「死の女神」なんてのを相手にすると、命のやりとりにもなるからな。
 レベルアップといえば。
 どうも、杏さん、道士として、相当なレベルまでいってるっぽい。具体的にどうのこうの、ってわけじゃねえんだが。
 なんていうか、雰囲気っていうか、まとってる「氣」の質が違うっていうか。神仙として成道(じょうどう)してるかっていうと、そこまでは、いってないと思う。でも、少なくとも、俺たち六人の中では、いちばん、「上」じゃないだろうか? この三月には、別の場所にいたと思しき「鬼」を、引っ張ってきたばかりか、どうも栂さんとか、普通の人間すら、「引っ張ってきた」フシがあるし。
 あの人のことだから、おかしな方向へ行くことはないだろうが、これまでのことを思い起こすと。
 ……面倒なことに、俺を巻き込まねえで欲しいけど?


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