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作品名:今日も杏とて。episode.1 作者:ジン 竜珠

第4回
 問題の場所に行くと、少女は、いない時間のようだった。だが、辺りを見ていた天宮さんと鬼城さんは、どうやら、なにかを掴んだようだ。
 二人して何かを話し合っていたが、結論を出したらしい。
 鬼城さんが、私を見た。
「まず、答を言っておきます。ボクが視る限り、その少女は、隣の市に縛られて、ここに来られないんじゃない。ここに戻ってきたいけど、何か邪魔するものがあって、ここに入ってこられないんです」
「え? どういうことかな、それ?」
 ちょっとわからない話だ。ここに戻ってきたいけど、邪魔があって、入れない? 本当にどういうことなんだ?
 天宮さんが、そのあとを継いだ。
「坂村はん、いろいろとスピリチュアルに凝ったはりますなあ。それはそれでええんやけど、たまに厄介なことにもなりますのや。例えば、ここの土地神(とちがみ)さんの御使(みつか)いさんが、あちこちでお働きになってる間に、ここに妙な結界ができてまう、とか」
 天宮さんの言うことが今イチ理解できない。土地神? 使い? 結界? それが、私のスピリチュアルに関係がある?
 本当にどういうことなんだ?
 天宮さんは、静かな笑みをたたえて言った。
「滅多にあることや、ありまへんけどな。祈り込んだりすると、奇妙な力場ができてまうこともありますのや。そのせいで、本来、その土地で最適な状態になってる力の流れが、狂ってしまう。今回は、そのようですなあ」
 どうやら、私が色々とやっていたせいで、あの女学生が出現していたということらしい。
「今から言うことを、やってもらえますやろか? そうしたら、御使いさんも、納まるところへ納まって、もろもろの不調も鎮まる、思います」
 そして、天宮さんは私に、スピリチュアル関係のもののうち、いくつかを処分するように言った。
「あとは、こちらでやっておきますさかい」
 そう言って、彼女は笑顔を向けた。
 彼女に任せておけば、すべて大丈夫。
 そんな風に思える笑みだった。

 その後も、体調不良の者は出続けたし、一時は私も倒れたりした。天宮さんたちのことを疑ったりしたが、彼女は「二十一日間は、こらえておくれやす」と言っていたので、とにかくその間は、辛抱した。
 そして、二十一日後。ウソのように、すべてが解決した。
 女学生の姿も見なくなったし、重苦しかった空気も、軽くなった。体調を崩していた者も、何らかの病気になっていた者以外は、全員、快復した。
 私もその一人だ。
 スピリチュアルも程度問題だ、と、私は痛感した。
 今度、彼女たちに、何か差し入れに行こう。
 青空を見ながら、私はそう思っていた。


(今日も杏とて。episode.1・了)


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