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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第9回 清秋傳 弐之傳 本祭狂詩曲・参
 実習棟と本校舎の間を歩いていると、福殿優流(ふくどの まさる)と顔をあわせた。こいつはクラスメイトで、ちょっとお調子者の気があるが、いいやつだ。
「お、竜輝に生徒会長じゃん」
 そう言って、こっちに歩いてくる。そして。
「そうだ。竜輝、お前、利き腕、まだ治ってねえよな。だから、俺が代わりに書いてやるよ」
「書く? 何を?」
「ミスコンの投票用紙」
「……。すまん。俺、鎮痛剤の影響で時々、頭が、ぼうっ、てなることがあるんだ。お前、何言ってんの?」
 優流が、まるで世界の常識であるかのように言った。
「だからさ、お前の投票権、俺にくれたら、俺が二票、使えるだろ?」
「それって、不正って言わないか?」
「大丈夫だって。『俺が言う名前』を、『俺に耳打ち』してくれたら、『俺が代筆』するからさ」
 それを世間様では「不正」っていうんだがなあ。
「じゃあ、ボクが代筆するよ」
「ちょっと待て、珠璃。ミスコンって、女子の興味の対象じゃねえ……」
 と言いかけて、俺は思い出した。
 コイツ、ボーイッシュな美少女だから、男子と女子、双方から人気があるんだよなあ。そのせいでもないんだろうけど、コイツ「美少年と美少女によるハーレムの建設」なんてのを公言してやがる。普通なら、そんなこと言ってる奴がいたら、まず「引く」と思うんだが、逆にそれが、まるで誘蛾灯(ゆうがとう)のように、「引きつけてる」らしいんだな、男子とか女子とか。
 生徒会の誰かから聞いた話なんだが、実際に珠璃のハーレムに入れて欲しいと申し出てくる女子が、学年問わず、何人もいるらしい。
 俺には理解できねえ。
 実際に珠璃が申し出を受けているかどうかっていうのは、知らねえし、聞いてねえし、怖くて聞けねえけどな。
 俺が言葉に詰まったのをどう理解したのか、それはわからないが、優流が珠璃を見て言った。
「そうなんだよな、今年のミスコンは『推薦エントリー』がないんだよ。立候補だけだから、出場者が、去年の三分の一ぐれえなんだ。うちの高校って、そういうのに興味持ってる女子、少ねえのかな? ミスコンって、女子もそれなりに興味持つと思ってたんだけど」
 耳慣れない言葉に、俺は珠璃を見た。
「なんだ、その推薦ナントカって?」
「ミスコンはね、立候補と推薦による出場があったんだ。推薦の場合、一定数を確保して、本人が了承すれば、その人も参加することになる」
 その後を優流が続ける。
「だから、去年は推薦エントリーで、生徒会長と鳳さんと、当時二年だった天宮杏先輩も出場したんだけど。実質的に、この三人による三つどもえの戦いになっちまってさあ。僅差で、天宮先輩が優勝、生徒会長が二位で、鳳さんが三位だったんだ」
「バランスが悪くなるからっていうことで、今年は立候補のみになったんだよ」
 と珠璃が、何でもないことのように言う。案外、本当に何でもないことかも知れない、こいつにとっては。


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