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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第52回 終劇之傳 傳之陸
「……お前、何やってんの?」
 俺の言葉に、優流が腰に差していた、予備らしき木刀を、俺に投げ渡す。
 俺がそれを受け取ったのを確認して、優流が言った。
「覚悟してもらうぜ、名探偵!」
 俺だけじゃねえ、四人の部員も、困惑しきってるのがわかる。
 そうだろうなあ。台本と全然、違うもの。
 優流が、剣を振りかざして、俺に向かってきた。
 振り下ろされた剣を木刀で受け止め、俺は集音部分を塞いで言った。
「お前、何やってるんだよ!?」
「昨日、天宮先輩にいわれたんだよ、『劇を盛り上げたら、麻雅祢ちゃんとデートできるように口、きいてくれる』って!」
 本当に、何を考えてるんだろうな、杏さん。さっきの鬼は、まあ、理解できないこともない。あくまでも想像だけど、どこかに出現した鬼が暴れないように、ここへ引き寄せて、俺たちに祓わせるつもりだったという解釈もできる。
 でも、優流は違うぞ?
 コイツが出てくることで、芝居が、グチャグチャになるのは目に見えてたと思うけど?
 ちなみに、優流が持ってる剣は、演劇部の備品で、サンペルカとかいう軟質素材でできているらしい。だから、リアルに見せるため、俺はあえて、力を抜いて、剣を受けた。力を入れて押し返すと、剣が変形して、興ざめだからな。優流はそこまで考えてねえだろうし。
 一合、二合、三合。
 俺は適当なタイミングを探った。正直、杏さんの思惑が何処にあるのかわからない。ここで、優流を放り込んできたということは、何か意図があるはずだ。だから、それを理解したところで、コイツを斬るのがいいんだろうが。
 さっぱりわからねえ。
 どうしたもんかと思っていると、優流が俺と間合いを取って言った。
「外で、話を聞いていて、思ったよ、お前が名探偵だってな! そして、わかったよ、お前が殺人犯を見つけ出すことも、その犯人を警察に突き出すことも! だがな! 俺は、絶対に『あいつ』を許さねえし、彼女を殺したヤツも許さねえ! そして、『あいつ』を警察に引き渡すだろう、お前も許さねえ!」
 そう言って、優流は引っ込んでいった。
 伏線を張っていきやがったか。
 つまり。
 この時点で、台本は変わっているわけだ。

 俺は深呼吸をして、改めて言った。
「お話を聞かせてもらえますか」
 そう言って、俺はある一人を木刀で差した。
「そう、あなたです」
 そこにいたのは、バスケットを手にした、鳳美悠那だった。


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