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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第50回 終劇之傳 傳之肆
「……え? 鬼?」
 ちょっと待って? え? どういうこと? 鬼? 鬼だったら、トリックもへったくれもないんじゃね? 何でもありになるんじゃないの?
 いやいやいやいや、そうじゃねえ!
 この気配は、明らかに「鬼」だ! なんで、こんなものがここにいるんだ!?
 その時、杏さんに持たされた無線機から、笑い声が聞こえてきた。
 俺はステージマイクが音を拾わないように、集音部分を指で塞いで、言った。
「杏さん、何か知ってますね、あなた?」
『いやあ、こないにタイミングがピッタリになるとは、思わへんかったわ』
「やっぱり何か、予知してましたか」
 呆れていると、杏さんから指示が飛んできた。
『竜輝はん、騒ぎにするわけにはいきまへん。あんじょう、よう、やってくれますか?』
「無茶苦茶言いますね、あなた!」
 これを一体、どうしろと?
 案の定、ステージも客席もザワついている。
 どうしたものかと思っていたら、何か、異様な気配を感じた。それは、珠璃も同じだ。
「竜輝、これって」
「ああ。次元が裂けてるな」
 空間が裂け、別の空間が滲(にじ)み出してくる時の、異物を押し込まれるような違和感がある。
 そして、書き割りの絵が歪み、そこから、二人の男が飛び出した。一人は、とんでもねえレベルの「負の氣」にまみれている初老の男。もう一人は。
「栂さん!?」
 蛍矢さんの後任で冥神のリーダーになった、栂さんだ。
「竜輝さん!? ここは一体!?」
 栂さんも、混乱しているらしいが、それは俺たちも同じだ。
 一体何が、と思っていたら、袖の方から、一人の女性が飛び出した。
 いや、「何かに噴っ飛ばされた」感じに近い。飛んできた相手は。
 珠璃が頓狂な声を上げた。
「屋敷(やしき)さん!?」
 栂さんも、驚いている。
「屋敷、お前、どうしてここに!?」
「わ、私はただ、胡桃さんから、今日、この時間に、ここで待機しておくようにって、指示されて!」
 アタフタといった感じで、屋敷さんが弁明する。
 俺は屋敷さんが飛んできた袖の方を見る。杏さんが笑い転げていた。
 そうか。この人が屋敷さんをここまで噴っ飛ばしたか。
 ということは、百パーセント、杏さんが姉貴に頼んだんだな、屋敷さんに「ここにいるように指示してくれ」って。
 本当に、何を考えてるんだ、あの人は!

 石動紗弥は、学園の理事長である如月双葉とともに、観劇に来ていた。学園教師の碧海凉も一緒だ。
 双葉が首を傾げる。
「ねえ、どうなってるの、これ? ミステリだと思ったら、鬼が出てきたり、人が増えたり。それに、背景が歪んだのって、どういう技術?」
「え、ええと。背景が歪んだのは、プ、プロジェクションマッピングか、と」
 と、苦笑いを浮かべてみるが、紗弥も、どう説明したものか、苦しんでいる。
 そして、隣に座っている凉に小声で言った。
「ちょっと、どうなってるの!? なんで、栂くんとか、穂津深(ほづみ)ちゃんがいるの!?」
 凉も小声で答えた。困惑を隠さず。
「あたしに聞くなよ!? 何やってるんだ、あいつら! それに、なんなんだ、あの陰の氣まみれのおっさんは!?」


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