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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第36回 杏香傳・後編
 何を言ってるんだ、この小娘は?
「いろんな人がアラ探しするのんは、どこをどうすれば、ええモンができるのか、よってたかって考えてくれてはる証拠や。仮にも、一企業の命運をかけるんやからなあ。……そないな考え方してみても、ええんと違いますか?」
 何を言ってるんだ、高校生風情が!! 何にもわかってないくせに!!
 でも、ここで私は気がついた。
 何で、この子は初対面のはずの、私の境遇を知ってるんだ?
「見てるお人は、『自分』も含めて、必ず、いてはります。そのお人に、無様なところは見せられまへんえ?」
 そんな人がいるんだろうか?
「そんなお人が一人もおらんかったら、今頃、この公園におらんのと違いますか?」
 よくわからないな、この女の子の言うこと。
「そもそもプロジェクトが通ったんは、それなりに『面白い』からですやろ? せやったら、やることは一つやで?」
 私は、言葉を出せなかった。
 笑顔でそんなことを言っているこの少女は、一体、何者なのだ!?
「その上で、どうしてもダメやったら、そのカバンの中にあるもの、叩きつけたらよろし。でも、明日はやめた方が、よろしゅおますえ? 物事には、タイミングいうもんがありますしなあ」
 そう言って、彼女は立ち上がった。
「ええ年した殿方が、短慮なんか、するもんや、ありまへんえ?」
 笑顔でそう言うと、彼女は歩いて行った。
 その先には、同じ高校の制服を着た男女がいる。一人は眼鏡の少女、一人は、ちょっと感情の読めない小柄な少女。一人は、とても大人びた少年、一人は、制服の違いがなければ、女の子だと思ってしまうような少年。
 詳しくはわからないが、聞こえてきた単語から判断すると、彼らは、利き腕の骨折で入院している、「リュウキ」とかいう友だちの見舞いに向かう途中らしい。
 彼らを見送りながら、私は改めて鞄の中に入れている封筒を思い浮かべた。
 その時には、どういうわけか、「もう一日だけ、頑張ってみよう」という気持ちになっていた。


(神氣学園杏香傳・了)


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