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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第33回 珠光傳
 鬼城珠璃が、自分が人並み外れて勘が鋭いことに気づいたのは、いつのことだったろう。
 人が何を考えているか、事態がどのように推移しようとしているのか、大体のことがわかってしまう。
 百パーセントではないが、感覚としては、ほぼ「思った通り」であった。
 上辺では気遣うようなことをいいながら、その実、ドス黒いものを抱えている「女」が嫌だった。
 自分に接してくる「男」が何を目的にしているのか、それがわかるのが嫌だった。
 確かに、男と女では、行動原理に違いがあることもある。
 しかし。
 いや、両方が理解できるからこそ、彼女の中で「男」と「女」を区別する意味が、見いだせなかった。
 だから、試しに男言葉を使ってみた。
 意外に気が楽になった。
 男言葉で、何かをスッパリと言い捨てることに、快感すら覚えた。
 だから。
 彼女は「男」も「女」も、嫌いになろうと思った。

 小学六年の正月。
 当時、存命だった両親に連れられ、天宮流神仙道の宗家に年賀に行った時のこと。
 宗師の孫に初めて会った。同い年だという。
 この頃にはある程度、彼女は自分の能力を、制御できるようになっていた。
 そこで、興味本位で、この少年を見た。
 どうせ、たいした人間ではないだろうと思って。
 驚いた。
 この少年のことが、ほとんどわからなかったのだ。
 わかるのは、彼が、まるで自分を「何か」の勘定に入れていないかのような、とても澄んだものを持っていることだった。
 そして、彼の中に、とても強い「軸」が通っているのもわかった。
 興味が湧いた。
 確かに彼の容姿は、わずかに残る、彼女の「好み」だったかも知れない。
 だが、何より、彼に通っている軸に興味があった。
 そして、自分の直観すら通じない、この少年のことを、知りたいと思った。
 そして。
 彼のような男になれるのなら、女の子を好きになってみるのもいいかも知れない、と思うようになった。
 だが、何より。
 彼に愛されるのであれば、かわいい女の子になりたいと願った。

 鬼城珠璃の中に小さな煌めき(きらめき)が生まれた瞬間だった。

 なお「『女の子』になろう」と思って、髪を伸ばし始めたものの、高校に上がって、周囲の女の子には「ショートへア」の方がウケがいいとわかってから、髪を切ったのは、別の話である。


(神氣学園珠光傳・了)


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