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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第3回 清秋傳 壱之傳 祝祭前夜・弐
 朝食は、大体六時半頃だ。天宮流の修行者として朝四時起きっていうのは当たり前だから、二時間半っていうのは時間が空きすぎ、って思うかも知れねえけど。
 朝の修行プログラム考えたら、実は二時間ぐらいあっという間だ。まず「禊(みそぎ)」だろ、「祝詞奏上(のりとそうじょう)」、「天宮流の身体錬磨(気功みたいなやつだ)」、精神を統一する「鎮魂(ちんこん)」。その他にも「息吹永世(いぶきながよ)」っていう呼吸法とか、色々あるんだが、割愛する。
 で、珠璃から爆弾発言ブチかまされた翌朝。珠璃が一緒に住むようになってから、五日ほどなんだが。いつもは俺の向かいに姉貴、食卓の、俺から見て左サイドのラインに珠璃なんだが、今朝は俺の右隣に座ってやがる。
「珠璃、お前、何でここに座ってんの?」
「ン? 決まってるじゃないか、竜輝にご飯食べさせるためだよ」
「……何、それ? 何の儀式?」
 俺の問いに答えず、珠璃が自分の茶碗からご飯を箸でつまむと、
「あーん」
 なんて言ってきやがった。
「バカにしてんのか、俺を?」
「え? 竜輝、ゆうべ言ったよ、腕が治ってないって? だからさ、完治するまで、ボクが食べさせてあげるよ。ハイ、あーん」
「誰が、するかッ!!」
 俺の抗議を聞いていないのか、
「ああ、そうか。口移しの方が良かったかな?」
 なんて抜かしてる。
 俺がわざと顔を逸らすと、そこに姉貴がいた。
「竜輝。あーん」
「姉貴、うちの修行にあったっけ、そんなの? ……ああ、俺の精神力の鍛錬か?」
「いいじゃん、お姉ちゃんも混ぜてよ?」
 笑いこらえてるのが、バレバレだぞ?

 結局、俺は珠璃にメシを口の中にねじ込まれた。
 ていうかな。
 左手で生活するぐらい、入院中に、ある程度までマスターしてるっての!
「竜輝」
「なんだ、珠璃?」
 朝飯がすんだあと、珠璃が俺に言った。
「ボク、今、ショートにしてるけど、髪、長い方がいいかな? 杏さんみたいに?」
「……なんか、変なフラグ立てちゃった、俺?」
 コイツ、時々、爆弾放(ほう)ってくるんだよな、触れた瞬間、ドカン!てヤツ。
「麻雅祢ちゃんも長いし、美悠ちゃんも長いし。引き続き理事長の秘書やってらっしゃる石動紗弥(いするぎ さや)さんも、ロングヘアだし」
「なんで、対抗意識、燃やしてんの?」
 燃やす必要、ねえだろ? 俺はお前が……という言葉は出さなかったけどな。
 俺の言葉に、珠璃は眼鏡を直して、微笑んだ。
 否。
 ニヤってしやがった。
「そうだね。バランスっていうものがあるから、ボクはこのままにしとくよ。でも、キミも憧れてるんだろ? 白いシーツの上に、扇のように広がる黒い髪、それを見下ろすのが」
「やかましい」
「いつでも言ってよ? 伸ばすから。ウィッグも用意するし」
 答える気も起きなかった。


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