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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第26回 聖夜傳 傳之漆
 なんていうかね。姉貴も紗弥さんも、助けてくれなくてね。姉貴曰く「それは響堂くんの問題であって、お姉ちゃんが何か、言うことじゃないでしょ?」だそうで。
 うん、その通り。
『申し訳ありません、竜輝さん。私は社会人ですので、感性が違います。高校生の感情の機微といったことに、適切なアドバイスができるとは思えません』
 とは、仕事中だったらしい、紗弥さんのお言葉(仕事中に電話して、申し訳ありません!)。
 多分、その通り。
 でも。
 何故だろう? 二人とも、この状況を楽しんでるようにしか思えなかったんだけど?
 ていうか、二人とも「高校生」を経験してるよね? 確かに、天宮流神仙道の修行を小さい頃からしてるから、普通とは違ったと思うけど、それなりに「青春」したんじゃねえの?
 凉さんは『今、それどころじゃないって知ってるだろ!?』だったし、珠璃に至っては「ここで零司さんの役に立って、自分をレベルアップさせるのも、いいんじゃないか?」なんて、お気楽なこと言ってやがるし。
 俺は、のろのろとベンチから立ち上がった。鷹尋には「自分できちんと『お断り』の返事をしろ」とは言えたんだがな。
 俺は伸びをして教室へ戻ろうとした。
 すると、本校舎から、実習棟へ向かう麻雅祢がいた。
 俺に気づいたのだろう、渡り廊下から出て、麻雅祢がこっちに歩いてきた。
「竜輝」
 と、麻雅祢が俺を見上げる。
 こいつ、感情が表に出てこねえからな、何を考えているのか。
 麻雅祢が俺を、じっと見て言った。
「協力して欲しいことがある」
「協力? なんだ、珍しいな?」
「放課後、一Bの教室に来て欲しい」
 こいつは一年B組だ。何の用だ?

 で、放課後、掃除が終了した頃に、その教室に行くと。
 麻雅祢と、おそらく同じクラスだと思われる男子生徒がいた。他に生徒はいない。みんな帰ったか、部活動に行ったのか。しかし、こんなことは珍しい。どこの教室でも、たいてい何人かは残ってて、だべってたりするんだがな。そう思ったら、かすかに咒力が感じられる。
 そうか、麻雅祢が「人払い」の結界を張ったか。
 麻雅祢が俺の近くに歩いて来て言った。
「この人と、今、おつきあいしてる」
 ……え?
 男子生徒が目を見開いた。
「ええっ!? 橘さんの恋人って、天宮先輩なの!?」
 ……ええっ!?
「どういうことになってるんだ、麻雅祢!?」
「どういうことなんだよ、ねえ、橘さん!?」
 俺と男子生徒の声が重なる中、麻雅祢が無表情で言った。
 まず俺に対して。
「塚本くんには、直接、竜輝を会わせた方がいいと思ったから」
 そして(おそらく「塚本」という)男子生徒に対しては。
「生徒会長の鬼城さんには、許可、もらってるから、問題ない」
 まったく、話が見えねえ。


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