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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第21回 聖夜傳 傳之弐
 生徒会役員選挙はね、まあ、ほとんど、留任だったんだけどね、実質上。ていうか、定数以上の立候補がなかったしな。選挙前の情報じゃ、珠璃と同じ空間で仕事がしたいってことで、女子が多数、立候補するんじゃないか、てことだったんだが、ふたを開けてみれば。
 同じクラスの福殿優流の話じゃ「『授業以外で同じ密閉空間に入るのは、御法度』っていうお達しが出たらしいぜ、生徒会長のファンクラブの中に」。
 ゴメン、わけ、わからんわ、この学校。

 十二月に入って、すぐの日曜日。昼下がり、ウチに碧海凉さん、理事長の秘書してる石動紗弥さんが来ていた。姉貴は仕事が休み、珠璃は、まあ、下宿人みたいなものだから。
 ついでに、杏さんと麻雅祢もいるけどな。ここまできたら零司さんとか鷹尋とかも呼びたかったんだが、二人は用事があるって、前から聞いてたしな。
 ここに一同が集まっているのは、クリスマスパーティーの相談をするためだ。この前は、どこかのレストランとか貸し切りにして、っていう話も出たんだけど、意外に早く会場が押さえられてて、無理だった。早いところは、二年前の時点で予約が入っていたらしい。ということで、我が家でってことになった。
 凉さんが紅茶のカップ片手に、ピリ辛の珍味を口にくわえて言った。
「で、結局、紗弥の都合は無理そうなの?」
「うん」
 と、紗弥さんはチョコスティックを手に言った。
「理事長が開くクリスマスパーティー、こっちとバッティングしたから、あっちに顔出さないと。一応、理事長のプライベートパーティーってことになってるけど、実質的に名刺交換会だから。私も、引き続き各派閥の動きに目を光らせないとならないし、パーティーに来る人来ない人の動向を、チェックしないとならないのよ」
「たいへんだなあ、ほんとに」
 と、凉さんが紅茶を飲む。
 前から思ってたんだけど、紅茶にピリ辛珍味って、あうんですか?
 これ、俺の心の声な。
「あたしの方は、問題ないよ。昼間は整理しとかないとならない仕事があるけど、五時ぐらいからなら、時間空くし」
「あたしも」
 と、姉貴が言う。
「その日は、お休みがとれるから。ていうか、その日にお休みがとれるように、無茶なスケジュールでも、こなしてきたんだもん。組合の方にも手を回しておいたから、お休みの申請書、通ってるし」
 うん、頼むから、俺たち高校生の前で、そういう生臭ェ話、しないでもらえるかな? 社会に対して、夢、なくすから。
 その時。
「あら?」
 と、紗弥さんが何かを見つけたように、床を見た。
「凉、バッグから封筒が出てるわよ?」
「え? ああ、これか。さっき、スケジュール帳出す時に、一緒に出たか」
 と、白い封筒を出す。
「碧海凉先生様」と書いてある。
「もしかして!」
 と、姉貴が身を乗り出した。
「ラブレターなの!?」
 どこか嬉しそうだ。
「ああ。名前は書いてないけど、身元はわかってる。正直、どうしようかって思ってるんだよ」
 紗弥さんがチョコスティックをくわえて、笑みを浮かべた。
「あらあら。困った人ねえ、教え子だますなんて?」
「茶化すなよ、紗弥。ホントに困ってるんだからさ」
 と、紗弥さんは頭をかく。
 杏さんが、何か企んでそうな笑みを浮かべた。
「今のうちから『しつけて』おいたら、自在に操縦できる殿方を、製造できるんと違いますか?」
「勘弁してくれよ、杏。あたしゃ、そういうのに、興味はないんだからさ、マジで」
「そうよねえ」と、紗弥さんが言った。
「凉って、基本的に修行のムシだもんね」
 そうか。凉さんって、そういう人か。ちょくちょく俺と姉貴のことを冷やかしてるけど、自分自身はどうでもいいのか。たまにいるんだよな、自分自身の色恋はどうでもよくなっちゃってて、そのくせ、他人のそういう話には首ツッコむ人。


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