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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第18回 清秋傳 参之傳 母、また来たる・肆
 まずは。
「天宮の者、粗食・菜食が基本なのは、知ってるわね? でも、お客様にまで、それを強いるのは、愚かなこと。おもてなしの心を忘れてはなりません」
 天宮流では「原則」として肉食はしない。ただ、それは「生き物を殺すのが可哀想だから」という理由が、主なものではない。「食べる」という行為は結局「何かの命をいただく」行為なのだ。ただ、それが動物だった場合、相手からすれば「命を奪われる」ということでもある。したがって、それを恨みに思う怨念が、食べ物にも移ってしまうのだ。
 もっとも、その量的レベルは、実は微々たるもの。例えば、誰かが百人に恨みを抱いたとしたら、百人全体に「何かをしよう」ということにはなっても、「個別に、一人一人に復讐していこう」というのは、あまりないだろ? 同じように恨みの念も(こういうたとえは変だが)、食べ物に均等に込められていて、ピンポイントで誰かに強力な「さわり」が出るということは、まずあり得ない。
 しかし、修行上、そういうことは避けておくに越したことはないから、俺たちはあまり肉を食べない。
「まず、雲片汁(うんぺんじる)から、作っていただこうかしら?」
「はい、お義母様」
 えっと。今、珠璃が言った「母」の字が、お嫁さんが夫の母親を呼ぶ時に使う「義母」だったように思えたんだが、気のせいか?

「そうね。これは、及第点をあげてもいいわ」
 母さんは珠璃が作った雲片汁を飲み、頷いた。ちなみに、麻雅祢も姉貴も、汁を飲んでる。
 なんで、俺にはないの?
「では、次は『こんにゃく焼』よ。十五分で作りなさい」
「でも、お義母様、十五分ではとても……」
「お黙りなさい!」
 と、何処に隠し持っていたか、母さんは競馬の騎手が使うようなムチを出して、テーブルの上を打った。
「はい、お義母様」
 と、珠璃はうなだれ、キッチンに向かう。
「なあ、姉貴」
「なあに?」
「もしかして、俺もつきあわないとならねえの、この三文小芝居?」
「え?」
 と、姉貴は不思議そうな顔をした。
「竜輝も、試験官よ?」
「……」
「あたしも『小姑』やらないと。でも、うまくできるかしら?」
 ええっと。
 俺、どうしたらいいの、こういう場合?


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