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作品名:神氣学園Saga 「AS(After Season)」 作者:ジン 竜珠

第10回 清秋傳 弐之傳 本祭狂詩曲・肆
 いろいろと複雑な力学があるのかも知れねえな、この辺は。
「せめて、締め切りである昨日の午後七時までに、生徒会長とかが申し込んでくれてたら、ミス新輝学園コンテストも盛り上がるんだけどな」
「悪いけど、ボク、興味ないからね」
「えっ!?」
 と、俺はちょっと驚いた。
「興味ない? お前が!?」
「何か失礼なこと考えてるんじゃないかって思うけど、ボクは自分が出ることには、まったく興味はないよ? 確かに、みんなの前で唄うのは気持ちいいけど、それはカラオケでも十分だから。それに、ボクにとって、ミスコンは出るものじゃなくて、見るものだから。去年は、杏さんが、ボクが出なかったら『自分も出ない』って言ったらしくて、それで色んな人から説得されて、仕方なく出たけど。本当なら、じっくりと楽しむつもりだったんだ。参加者によっては、個人アピールで、ボクみたいに歌を唄ったり、杏さんみたいに日舞を披露したり、っていうんじゃなくて、『とってもステキなコスチューム』を着る人もいたからねえ」
 と、珠璃が緩んだ笑みを浮かべる。
「だからこそさ、参加すれば、ステージで間近で見ることができるだろ?」
 と、優流が言った。説得してるように聞こえるぞ? ていうか、それ以前に、今の珠璃の発言を全面肯定してるようだが、珠璃が吐露した、ズレた性癖に、まずは違和感覚えろ。
「だってさ、出場者って、色んな準備とかあって、ステージから引っ込んでることが多いんだ。袖の方からじっくり楽しむ時間もなかったし。控え室、別々だし、着替えの時間とか、あわないし」
 本当に不満そうに、珠璃は言う。
 いや「不満そう」じゃなくて、本当に「不満」なんだな、
 優流が頭をガシガシとかきながら言う。
「今年は立候補者だけなんだけど、少なくてさあ。だから、急きょ『飛び入り参加』を認めたらしいんだけど、これも少ないらしいんだ。最初から出るつもりの人は、準備時間がかけられるけど、飛び入りはそうもいかねえだろ? せめて鳳さんだけでも出てくれたらって思ったんだけど、『興味ないから』ってあっさりいわれちまったし。『そんなことしてるより、スイーツ作って食べたり、スイーツ作ってみんなに食べてもらったり、スイーツ作って色んなところに差し入れしてる方が面白いわ』って」
 美悠那の言いそうなことだな。あいつの頭の中、円グラフにしたら、五分の四がスイーツで埋まってるんだろうし。その割りにスタイルはいいんだよな。努力の人なんだろうな。
「ええーっ!? 美悠(みゅう)ちゃんも、出ないの!?」
 と、珠璃が驚きの表情をしている。
「珠璃、お前、知らないのか、イベントの状況?」
「いくつかのイベントは学生会の管轄なんだよ。ミスコンも、そう。そうなんだ、美悠ちゃん、出ないんだ……」
 そして、いきなり俺の左腕を抱き込むと、
「竜輝、あっち行こ?」
 と、グラウンドの方へと引っ張っていった。
「おい、珠璃?」
「ちょっと、生徒会長?」
 とりすがるような優流の声に、珠璃は言い放った。
「去年優勝して出場権のない杏さんは仕方ないとしても、美悠ちゃんも、麻雅祢ちゃんも出ないような、そんなミスコンには、まったく興味はないよ?」
 冷たい目で。
 ……。
 すまん。俺には、もう何も言えねえ。


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