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作品名:降臨!! JK救世主・全 作者:ジン 竜珠

最終回 降臨!! JK救世主・全
 放課後。あたしは友だちを誘って帰ろうとした。
 来年は大学受験だし、とにかく、今を楽しんどかないと!
 なので、英語の宿題があるとか、明日、数学の小テストがあるとか、その友だちがあたしより成績がよくて、毎日塾通いしてるから頼りになるとか、いろいろ教えてもらおうとか、そんなのは抜きにして、友だちと楽しむの! 放課後ライフを!
 その子とあたしだけになった教室で、あたしは言った。
「ねえ、一緒に帰ろ? でさ、バーガーショップ辺りで英語の宿題……じゃなかった、お喋りしよーよ!」
 友だちに近づくと、その子が振り返った。
 とても、まじめな表情で。
「私ね、昨夜(ゆうべ)、神の啓示を受けたの」
「……え?」
 なんだか、電波、受信しちゃいましたよ、この子!?
「神様がね、仰ったの、『人類世界は、もうすぐ天による裁きを受ける』って!」
「……」
「だからね。そうならないように、神の教えをみんなに伝えるの。私がッ!!!!!!」
 そういえば、この子、昨日、告ってフラれたらしいのよね。そういう時って「あんな男なんか、忘れてやる!」とか、「もう一度チャレンジよ!」とか、「私を見てない、あの男の目が腐ってるのよ!」とか。ちなみに三番目のヤツは、うっかり「そうよねえ」なんて同意しようものなら「○○くんのこと、悪く言わないで! そんな人じゃないモン!」って反撃されるから要注意! でも同意しなかったらしなかったで、「あんたも○○くんのこと、狙ってるの!?」って責められるのよ。ややこしいわよね、このへん。
 まあ、ともかく、大体、今言った方向に行くのよ、普通。
 そこから「神の啓示」を受けちゃう方向に行くとはね。
 何してるのかしら、文部〇学省?
「えーとね」
 と、あたしは、一応、言葉を選んだ。
「神の啓示、受けたのね? どういう内容だったの?」
「太古の宇宙でね、神と邪神の戦争があったの。それで、敗れた邪神は封印されたの。その場所が、私たちの住む地球。そして、邪神の動きを監視するために、天使がこの星に来たの。それが、人類の祖先」
「……。聞くけど、あんた、昼休みに、変なキノコとか、拾い食いしなかった?」
 この国では、建前上「その手のキノコ」の取引は禁止されてるし、山間部に行かないと、手に入らないはず。もしかしたら、街中(まちなか)で自生しちゃってるのかも知れない。連絡先は、保健所かしらね、この場合?
「でもね、天使の末裔である人類も、長い年月をかけて、堕落してしまったの。そのせいで邪神の復活が早まってしまった」
「復活しないように封印するんじゃないの?」
「本当はね、地球の浄化力で邪神は善なる神に生まれ変わるはずだったの。でも、人類が堕落したせいで、浄化力が弱まり、邪神が善の神に生まれ変わる前に、封印が弱くなってしまったの」
 えっと。現代の方がよっぽど治安がいいんだけど? 昔の方が、よっぽど人命を無視していたし、倫理観も狂ってたんだけど? だから、そうならないように、現代って過剰なほど法整備されてるんだけど? だから、もっと早くに封印、解けてるんじゃないかな?
 そんなことを言うと、彼女は本当に哀しそうに言った。
「人の心の荒廃は、進む一方なの」
 芝居しているように見えない。
 本気でイッちゃってるらしい。
「だからね、愛を広めるの! 地球が愛で満ちれば、封印が強くなるの。ううん! 邪神だって、滅ぼせるの!」
 そう言って、笑顔になった。
 おいおい、神様が邪神を封印したのは、善の神にするためでしょ!? 「啓示を受けた」だけのあんたが、そんな権力、使っていいのか!?
「だからね、私、みんなの恋を応援することにしたの!」
「……はいぃ?」
「みんなの恋が叶えば、きっと、みんなも幸せな気持ちになると思うんだあ」
「その『みんな』って、この高校限定だったりしない? もしかして、今のこの時期になって、おかしな部活の設立とか考えてたりしない?」
「そんなことはしない。そんな目立ったことをしたら、邪神の手先に目を付けられるもの。私は、恋に悩んでる子の心が伝わる能力を、授かったの。それを使って、その子の想いを恋の天使に届けるの! それが私の使命!」
 えっとー。マンガなんかで、最初は学園ラブコメで始まったのに、作者がなんかのアニメに、はまっちゃって。途中から、いきなり、幾何学的なオブジェが並んだ浜辺みたいなところで、銀河を背負って「これが、ワタシとアナタが、出逢った理由……」なんて展開をするのが、たまぁに、あるけど。
 宇宙で神様と邪神が戦争してた、て話から、恋を叶える役目を背負うっていう方向に縮退しちゃうのは、初めてだなあ。あたしが編集長だったら、確実に叱ってるわね、作者じゃなくて、作者を制御できなかった編集者の方(ほう)。
「だから、手始めに、あなたの恋を叶えてあげる!」
 笑顔で言う、その言葉を聞きながら、あたしはケータイを出していた。
「もしもし、お母さん? ちょっと友だちの親御さんに、相談しておきたいことがあるの。……ううん、悩んでるとかそういうことじゃなくて、塾の日を減らした方が、いいんじゃないかって。……とにかく、今から名前言うから、連絡先、調べて、折り返してくれる?」

 神様も、たいへんである。


(降臨!! JK救世主・全 了)


あとがき:時々ありますよね、途中からものすごい方向に向かっちゃうマンガ。昔のことなんですけど、サッカー漫画だったのに、途中からいきなり「スパイアクション」になっちゃったマンガがあったりして。……あれって、なんだったんでしょうね?

 本作をもちまして、「全」シリーズ、完結でございます。これまでご愛読いただき、誠に有り難うございました。


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