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作品名:フォークロア=ラブゾーン・全 作者:ジン 竜珠

最終回 フォークロア=ラブゾーン・全
 このゲームは「ある学園に蔓延する『都市伝説』を、『街』に『感染』させる能力を持った異能者たちと、主人公との戦い」である。
 こう書くと、シリアスな伝奇物をイメージすると思う。俺も、そう思ってたし、ジャンルのカテゴライズも「伝奇アドベンチャー」だ。
 しかし、やってみると、かなり妙なノリだった。イベントの一つを紹介する。
「学園の南にある記念樹の前で告白すると、百パーセント、恋が叶う。それを呪式化(スペライズ)して、街に振りまき、いろんな恋を実らせる。そんなことをされると面倒なので、帰宅部の主人公と生徒会、新聞部が事態の収拾に乗り出す」。
 おバカな話である。こういうイベントばかりだ。しかし、こういうノリだから、逆に、たまにシリアスな話があると違和感があって、少し気分が下がる。
 まあ、それはいい。このゲームはメインのストーリーとは別に、男性主人公の、ちょっとハーレムな恋物語も描かれている。昔のマシンは演算能力や保持できるフラグの限界なんかから、どうしても伝奇ADVか恋愛ADVか、どちらかに重心を置かざるを得なかったが、最近のヤツは性能がいいからな。どちらも楽しめる作りになってる。
 つまり、一定の条件が揃ったら、終盤で特定のヒロインとのラブラブなシナリオが待っているのだ。それも、それまでクリアした条件に応じたマルチなやつだ。
 メインヒロインなんか、条件に応じて複数のシナリオが組み合わされていくから、全部のフラグを立てると、ラブシナリオだけで伝奇シナリオの倍のプレイ時間があったりして、「これ、もう恋愛ADVにした方が、よかったんじゃね?」とか、「なんでメインヒロインが『ラブレターをもらったエピソード』のあとに『まだラブレターをもらってない感じのエピソード』が来るの?」なんて、フラグ判定が甘くなってるところもあるにはあるんだが、それはそれでよろしい。
 それで、だ。俺はようやく条件をクリアして、隠しキャラの一人「留学生のシンディ・ゴールドマン」ちゃんに巡り会うことができた。
 いやあ、しんどかったなあ。一周目では名前と顔写真だけ。気になって攻略本、買って、一目惚れ。
 それで、二周目からは「特定のイベントをクリアする」だの、「イベントクリアの特定条件を満たす」だの。いろいろやって、七周目にしてようやく登場した。
 で、今、割とコミカルな場面で、最初の選択肢が出ている。
「『どうして、ここまで、深入りしたの?』」

1.放っておけないからな。
2.確認しておかないとならないことがあるから。
3.言わせるなよ。

 ちなみに、彼女の攻略ページは、まだ読んでいない。やっぱり最初は、正面から取り組みたいしな。
 でも、グラフィックとか見ると、結構、限界(コード)に挑戦してるっぽいんだよね。
 いやいやいやいや、まずはいろいろチャレンジだ! 隠しキャラは彼女だけじゃない! 新規シナリオ絡みでも、まだあと五十人いるからな! どこで他のキャラやシナリオの「出現フラグ」が立つか、わからないし! それを探すのも、醍醐味だ!
 では、ここは無難に「1」かな? でも、イベント絡みだから「2」だろうな。
 なので、俺は「2」を選んだ。
「『確認しておかないとならない。なんで、お前の出現条件って、こんなにややこしいの?』」
 ……え?
「『ごめんなさい。ライターさんのこだわりなの。アタシって本当はメインヒロインの予定だったんだけど、あるヒロインの声優さんが早い段階で決まっちゃって、たくさんのスタッフさんが、その人のファンだったの。それで、そのヒロインが、メインヒロインになっちゃったの』」
 ……何の話、始めたの、こいつら?
「『そうか。それでライターがへそを曲げて「簡単に出すもんか」ってなったのか……』」
 いや、しんみりしてるけど、そういうシーンじゃないからね?
 まあ、そのあとは、普通の展開になったけどさ。
 で、しばらくプレイしていたら、そのイベントも佳境になった。事件内容は「午後四時に学園の自動販売機で『コーヒー』のボタンを二つ同時に押すと、『カフェオレ』が出てくる。これを利用して、本来、街の自動販売機に充填されていない飲み物を、出そうとする」だ。こんなことをすると、めちゃくちゃなことになるんで、解決しようとするんだが、例によってバカバカしいにもほどがあるイベントだ。
 で、またシンディちゃん絡みで選択肢が出そうな雰囲気になった。話の流れから見て、グラフィックがありそうだな、これ。俺の脳裏に「空っぽだと思って缶を逆さまにして振ったら、中にヨーグルトが入ってて、それが顔にかかってしまった」らしい一枚絵が載ったページが浮かぶ。
 ……絶対、ゲットだ!!
 で、選択肢は。

1.自動販売機を殴る。
2.自動販売機を殴る。
3.自動販売機を殴る。

 一択なんだけど?
 バグ?
 仕方ないので、とりあえず「自動販売機を殴る」の一番を選んだ。
 お巡りさんに捕まった。
 リセットして、ロード。今度は二番目の「自動販売機を殴る」を選んだ。
 主人公が指と手首の骨を折って入院してゲームオーバー。
 三番か。
 自動販売機が派手に爆発して、ゲームオーバー。
 いくつか前の選択肢から影響しているらしく、そのイベントを最初からやり直したら、例の場面で違う選択肢が出てきた。

1.「コーヒー」のボタンを二つ同時押し。
2.「お茶」のボタンを二つ同時押し。
3.「ヨーグルト飲料」のボタンを二つ同時押し。

 来た!! これだッ!!!!
 俺は迷わず「3」を選んだ。
「『何か、変なこと考えてるでしょ、君。君が飲んでね、これ』」
 主人公の顔に、ヨーグルトがぶちまけられるアニメシーンが流れた。そのあと、ヨーグルトまみれの主人公の顔、そのアップの一枚絵で会話が進行。
 何か、変なプレイをさせられてる気分だった。
 気を取り直して「1」を選ぶ。
「『カフェオレか。もうここまで浸食(スペル・イローション)が進んでいるのか。早くなんとかしないとな』」
 で、イベント継続。そのあと、一本道で展開し、解決。
「2」を選ぶ。
「『ワタシ、この国のお茶、ダーイスキ!!』」
 で、彼女がお茶を飲み干し、一本道でイベント進行、解決。
 俺は攻略本を確認した。
 例のグラフィックは「ボツ・グラフィック」だった。それどころか、攻略本にある彼女絡みの一枚絵は、全部「ボツ」のものだった。


(フォークロア=ラブゾーン・全)


あとがき:「R指定」ギリギリっスかね?


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