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作品名:神氣学園甘現傳 作者:ジン 竜珠

第8回 甘現傳 傳之捌
 どういうことか。五十村蛍矢には、にわかには理解できないでいた。
 その夜、何者かがベースに侵入。蓮奈を拉致し、逃走。
 しかも何らかの「めくらまし」がされているらしく、霊的探査ができない。冥神のメンバーの中で動ける者に連絡を取ったら、皆、何らかの足止めにあっていた。ある者たちは、風に取り巻かれて動きが封じられ、ある者たちは突然に実体化したと思しき、大きな箱に閉じ込められ、ある者たちは、空を舞う銀色の小鳥に翻弄されていた。
 どうやら、組織的な動きがあるようだ。
 先日、蓮奈の行く末に関して占断を得たばかりだというのに!
 とにかく、あやしい気配を片っ端から潰していくしかない。そして、学園の近くまで来た時だった。
 電話がかかってきた。宗師の孫である、天宮竜輝からだ。
『もしもし、蛍矢さん!? 話は聞きました! せっかく、こちらで糸口を掴んだばかりだったのに!』
「姐御を救う、いい方法が見つかったのか!」
『ええ!! 確実とはいえないんですが! でも、今はそれどころじゃ! 今、どこにいますか!?』
「新輝学園の近くだ!」
 正確には、最寄りのバス停の辺りだが、そこからなら歩いても、十分で行ける。本気で走れば、一、二分だろう。
『……わかりました。俺も、今、学園に来てます。怪しい人影があったんで』
「あやしい人影? あそこは、物理的なセキュリティは、桁違いのレベルだぞ?」
『だから、妙なんです。だから、ここで……』
 その瞬間、通話が切れた。
「おい? おい!」
 一旦通話を切り、コールバックしたが繋がらない。電源が落ちた状態のようだ。
 何かあったのは間違いない。黄泉津大神を退けるほどの実力の持ち主、滅多なことが起きたということは、まず考えられないが。
 蛍矢は胸騒ぎを覚えて、学園めがけて駆け出した。

 学園に、上空から跳んで入ると、すぐに妙な気配があった。今、彼がいるのは中庭と呼ばれているエリア。そして、気配を探って上空を見た。
 十メートルほどの中空に、目もくらむばかりの光球がある。まるで、小さな太陽のようだ。そして、その光球から、マシンガンの如く、光弾が降ってくる。
 その一撃一撃が、地をえぐり、渡り廊下の屋根を穴だらけにし、コンクリートの舗装路を砕く。これほどの術者には、蛍矢は遭遇したことがない。
 その光弾が、どうやら蛍矢をグラウンドの方へ誘導しているらしいことに気づいた時には遅かった。
 彼に認識できたのは、短い髪を金色に輝かせ、瞳に燐光を宿した何者かが、光の弾丸となって、蛍矢に激突する瞬間のことだけだった。

 気がつくと、グラウンドのほぼ中央まで噴き飛ばされていた。そして、そこには、椅子に座らされて眠っている蓮奈がいる。
「姐御!!」
 蛍矢の叫びも、届いていない。
 その肩を揺さぶろうとした時、何者かの、いや、この人間世界には、まずあり得ないほど「清烈」な氣が、背後に現れた。
 咄嗟に振り返ると、一つの人影。その人物は、どうやら、右手を天にかざしているようだ。
 その右手は光り輝き、八方向に光の矢が伸びている。特に天に伸びている一本は三メートル近く伸びていて、まるで剣(つるぎ)を思わせた。
 蛍矢が、反射的に「氣」を巡らせる。どこまでこの攻撃を防げるか。
 直感的に、この刃には、自分の「すべて」を振り向けてもかなわないことはわかったが、それでも。
 せめて、蓮奈の盾にはなりたい。
 そして、全身の「陽の氣」で自らを「盾」にした時。

 剣が突き刺さってきた。


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