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作品名:神氣学園甘現傳 作者:ジン 竜珠

第5回 甘現傳 傳之伍
 杏さんに電話をすると「本日になるところまでは、視えてまへんでしたわ」ということで、明日の夜、杏さんがうちへ来てくれることになった。本来なら、こっちから杏さんのところへ行くべきなんだが、杏さん曰く、
「事情が事情ですさかい、竜輝はんと、胡桃姐さんと、珠璃はんの、三人がかりで説得されて呼びつけられた、いう体裁をとった方がよろしいですやろ? それに、あの家は上質の『氣』に満ちてますさかい、占断にもいい影響が出る思います」
 とのこと。なんとなく「俺に責任をかぶせよう」としてるのが感じられたが、いいとする。
 杏さんが来るのは、午後八時なんだが、蛍矢さんは七時には来ていた。
 ちなみに姉貴とは、冥神繋がりで、古いつきあいらしい。二人の話を拾っていて、気がついたが、姉貴は冥神のリーダー的存在ではないものの、宗家との連絡役の一人らしい。なんとなく感じてるけど、俺が会ってないだけで、分家筋の人も、この街にいるそうだ。
「蓮奈さん、このところ、調子が悪いわね」
 と、姉貴が目を伏せる。
「ああ」
 と言って、蛍矢さんが俺と珠璃を見る。
「お前たちにも、話しておく。俺が、お前に、こんなことを頼んだ、その理由を」

 蛍矢さんの口から語られたことは、一口では言い表せないものを含んでいた。俺たちが関わった、あの金丹もどきの一件が、こんなところにまで影響を与えてたなんてな。
 すぐに頭に浮かんだのは、麻雅祢の技能のことだ。麻雅祢は「情報」を結晶化できる。それを応用して、その蓮奈っていう人の氣とか四魂の「状態」を結晶化させ、補助に使う。そうすれば、実質的に「複数の自分」で身体を維持できると思ったからだ。
 だが。
 俺の表情から、何かを感じたか、あるいは、俺と同じ経路で思考していたのか。珠璃が沈んだ声で言った。
「麻雅祢ちゃんじゃ、どうにもできないね」
「ああ」
 と、俺は頷いた。
「どういう意味だ、それ?」
 と、蛍矢さんが俺を見た。だから、俺は麻雅祢が持っている結晶化技能のことを話した。
「おい、それって、いけるんじゃねえか? 少なくとも、姐御の『状態保持』はできるだろう? それをすれば、時間稼ぎができて、その間に宗家に行って、なんとかできるんじゃ……!」
 俺は、ゆっくりと首を横に振った。


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