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作品名:神氣学園甘現傳 作者:ジン 竜珠

第3回 甘現傳 傳之参
 地響きとともに、土くれが舞い上がり、蛍矢と女の視界をふさいだ。
 その土くれが、空から降ってきた何者かが着地した時に、起きたものだとわかった時、すでにその何者かが女のすぐ隣に現れていた。
 その乱入者が右の回し蹴りを放つ。女は剣で防ごうとしたようだが、蹴りの前に、その剣はバルサ材よりも、もろく折れた。
 乱入者……赤茶けた髪の女が両の拳を構える。
「AETには、課外活動にも協力する義務があるはずだが? お前の勤務地はここから車でも半日は、かかるだろう?」
 そう言って、ひるんでいる女のみぞおちに、左の拳を打ち込む。
 振り向きざま、乱入者が右手にはめている手袋を外し、叫んだ。
「緋勇牙(ヒューガ)!」
 右手の甲から光が溢れ、大型肉食獣の成体ほどの大きさがある光が飛び出し、悪魔に飛びかかる。あっという間に平らげると、トラのような姿になったその光は、次にドラゴンに躍りかかる。ドラゴンも赤色光のような息を吐き、トラを遠ざけようとするが、かなわない。どうやら、あの女の指示がないと思うように動けないらしく、女に向かって泣き事にも似た声を上げていたが、あいにく女は腹部を押さえてうずくまっている。
 ドラゴンが何事か吠えた直後、天からさっきの乱入者が降ってきた。その手には、青く輝く霊剣がある。
「祓い給え、清め給えッ!!」
 その声とともに霊剣がドラゴンを両断した。
 消滅していく怪物を背にし、剣を手にした女……真佐浦蓮奈が、冷たい声で蛍矢に言った。
「周囲の情況確認は基本中の基本。自分なら、この程度の任務は軽く、こなせる。そんな風にうぬぼれていたか、新人?」
 その姿に、蛍矢は憧れ以上のものを感じていた。

 それから、精進し、蓮奈の右腕として認められるまでになった。だが、しばらくして、蓮奈の身に異変が起きた。
 その時のことは、詳しく思い出したくない。このベースの前で大量に吐血し、倒れている蓮奈を発見し、宗家へ連絡した。そして遠隔呪術で応急処置を施してもらい、翌日に宗師が訪れ、今のような形になった。
 そして、蛍矢が蓮奈の後任としてリーダーとなった。実力を認められたという部分もあるようだが、大きな理由は蓮奈のことだった。詰まるところ、蓮奈の身に起こった異常事態を実際に見た蛍矢が、その事件がおかしな形で伝播しないよう、冥神のメンバーをコントロールすることが主な目的だったのだ。
「おかしな形」も何も、当時の蛍矢は、何故、蓮奈があのような状態になってしまったのか知らなかったので、蓮奈をおとしめるような噂が蔓延することを、抑えることができなかったが。
 蓮奈をどうにか救いたい。
 これが、蛍矢の心にあることだった。


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