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作品名:神氣学園甘現傳 作者:ジン 竜珠

最終回 甘現傳 傳之拾
 二人を見送ると、姉貴は、職場へ帰っていった。
 ふと、麻雅祢が不機嫌そうな顔になってるのが見えた。いつも、感情が出てこねえからな、こいつ。珍しい。
 そう思っていると、みんなの視線が集まった麻雅祢が言った。
「八十三回目で、キャンセルされた」
 ああ、砂とか土とかを利用した、結晶化結界のことか。
「構造が単純で甘かった」
 涙が浮かんでる。
 相当、悔しかったと見た。
「気にすることや、おへんえ? むしろ、五十回以内で破れなかった『冥神』の皆さんの、実力不足を憂いた方が、ええんと違いますか? 竜輝はん、胡桃姐さんにも、じっくりと相談しはった方が、よろしゅおすえ?」
「え? ええ、そうですね」
 と、杏さんには答えておいたが。
 ここにいる連中の方が、規格外なんだが?
 鷹尋も、ボヤく。
「スタミナ不足を実感したんだ。あの調子じゃ、フルマラソンで一時間五十分を切るのは難しいなあ」
 こいつ、そんな野望を持ってやがったのか。一応、「限界負荷」っていうものがあって、理論上、人間って時速二十二キロ以上で四十キロ以上の距離、走れねえらしいんだが?
 零司さんがポケットから、例の咒具を出した。翼を広げた鳥に見える、銀色のやつだ。零司さんは、これを時々ペンダントとしても使っている。
「俺は、これを使わなくても、咒力を身体に通せることが確認できたからな。かなり前進だ」
 みな、いろいろとあったらしい。
 杏さんたちは、一足早く、宝條の中心区へ向かった。俺と珠璃は、少し遅れている。
 まあ、ヒビが入っただけとはいえ、養生するに越したことはないからな。俺はゆっくりと周囲に気をつけながら、歩いていた。
 珠璃もそれに歩調を合わせてくれている。
「ねえ、竜輝」
「ン? なんだ?」
「今度さ、ボクのクラスのコや、美悠ちゃんたちスイーツ研の何人かとで、バレンタインパーティーを開くんだ。キミも参加者に入ってるからさ」
「そうか」
 まあ、いいかも知れねえな。いつぞやみたいに、朝から晩までスイーツっていうのは、こりごりだが。
「ありすちゃんもね、チョコケーキを作ってくれるって」
「すまん、珠璃! 俺、その日、用事が!」
「何、言ってるんだい? 同居人のボクが、キミのスケジュールを把握してないとでも?」
 そうだったな。
 珠璃が苦笑いを浮かべる。
「ボクたちも、手を貸すことになってるからさ」
「ありすが手を貸す、だろ?」
 珠璃は笑うだけで答えない。
 杏さんたちが、喫茶店に入るのが見えた。
 俺たちも、その喫茶店に向かった。


(神氣学園甘現傳・了)


あとがき:「聖夜傳」のあとがきで「あと短編二本で『神氣学園』SAGA(アフターシーズン)、全編終了の予定」としたんですが。もうちょっと続けてもいいですかね? 舌の根も乾いてないのにって、呆れてらっしゃる方もいらっしゃるかも知れませんが。本当はこんなことは書くべきではないんですが、この「神氣学園」、個人的にものすごく好きで思い入れがあるので、もう一エピソード程度、彼らを描(えが)かせて頂けたらなあ、っと思っています。


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