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作品名:あなたが地球の代表です・全 作者:ジン 竜珠

最終回 あなたが地球の代表です・全
 その夜、塾からの帰り道だった。
 彼にとって、高校に入って初めての夏休みも終わったが、そこそこ充実していたと思っている。
 恋人ができなかったのは残念だが、それでも何人かの女の子とメアドの交換ができた。
 ちょっと気になる子もいたりして。
 で、その子が他校の生徒だったりして、今ひとつ様子がわからなくて。
 つきあってる男子がいるとかいないとかいう以前に、そもそも、その高校に、そんな女子はいないとか、その子の写真を携帯の待ち受けにしていたら、大学に通ってる兄が「俺が高一の時に声かけた、同級生だって言ってた子に似てる」て言ってるとか、父親がそれを見て「イザベラちゃん!?」とかって驚いていて、母親と何やらケンカしていたりして、雑音が多いが。
 まあ、それはよろしい。
 今、彼の前では、奇妙なことが展開していて、そっちの方に気がとられているのだ。
「私は、君たちが『宇宙人』と呼ぶところの、恒星間飛行を可能とした文明の継承者の一群の一人です。君は、この星の代表であるところの一人として、私たちによって任命されました。これから、私たちとのコンタクティとして、活動されることを、望むということをここに表明することを、君は了承する必要があります」
 下手くそな英文直訳みたいだった。
 たまに、ものすごくクセのあるエンジンを持った翻訳ソフトを見かけるが、あれよりひどい。
 自分の和訳の方が、まだマシだ、と少年は実感している。
 そして、そんなことを言っているのは、身長二メートルあるような、西洋人男性。
「今年の夏は特に、あつかったからなあ」
 と、少年は呟いた。恥ずかしながら、夜寝る時にうっかりエアコンを切ってしまって、砂漠にペットボトルの水を無限に、こぼしながら、そこでクロールしつつ溺れる、という悪夢を見た彼に、この男性を責める資格はない。
 男性は全身タイツのような、ピンク色の服を着ている。
 どう見ても変質者だった。
「どうかしましたか、地球人の少年であるところのあなた?」
 ここは、塾と家との間にある公園だ。いつもはカップルが多いが、今日は一組もいない。こんな日もあるだろう、程度に思っていたが、納得した。
 事態は、もっと深刻だ。
 少年は携帯を出しながら聞いた。
「あの、すみません。警察の人と、専門施設の人と、どっちに連絡をとった方が、あなたにとって、助かりますか?」
 男性が首を傾げる。そして、少年に言った。
「先ほどから、この星の住人であるところの男性と女性に、コンタクトをとっているのですが何故か、構成しているところの個人個人が、私の視覚器官であるところの目と、自分の所有であるところの目とを、あわせようとしないのです。何故ですか?」
「えっと、一応、『その手』の雑誌とかあるんですけど、読んだことなくて。あ、でも、サイトに繋ぎますから、すぐに連絡取れると思います」
 そして、少年は携帯で、「その雑誌」のホームページを出す。投稿フォームを探したが。
「ないなあ、『私、宇宙人です』っていう告白受付」
 検索していて、気がついた。そこで、その疑問点を口にする。
「宇宙の人、さん? もし地球の代表を選ぶんだったら、もっと大きい世界規模の組織に行った方がいいですよ?」
 まあ、そういう機関が、こういう人を相手にするとは思えないが。
 男性が、ゆっくりと首を横に振る。
「私たちは、考えを改めることにしました。これまで、何度も代表であるところの巨大組織にコンタクトしましたが、そこの構成であるところの人々は、私たちのことを人々に見えないところに隠蔽してしまい、この星に希望であるところの変革をもたらせそうにありません。そこで、住人一人一人に働きかけ、この星全体の成長に繋げることが、逆説的近道であると考察したのです」
 組織票を望めないので、「草の根運動」に方向転換した、なんかの選挙の立候補者みたいだった。
 その時、「早く帰って来い」みたいな内容の電話が、母からかかってきた。
「すみません、早く、家に帰らないと」
 そういうと、男性が寂しそうな表情になったが、それでも、解放してくれた。帰る途中、振り返ると、光の玉が、上空に吸い込まれていくところが見えた。
「……公園で、禁止行為の打ち上げ花火やってる不届き者がいた、っていうニュースと、全身タイツの変人が出たっていうニュースと。別々に出るんだろうなあ」

 まあ、普通は、こうなるわな。


(あなたが地球の代表です・全 了)


あとがき:特にないッス(笑)。


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