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作品名:会長の「探偵物語」3 作者:ジン 竜珠

第2回
 午前中は、イベントの準備、本番、後片付けの流れについての説明だった。そんなに難しいものじゃないみたいだ。ただ、いわゆる「接遇」については、うるさくて、これについては午後からの説明の時に詳しくレクチャーするっていうことだった。
 昼食を食べ終えた僕は談話室で、オーナーさんと世間話をしていた。他の人たちは、それぞれの部屋にいたみたいだ。僕たちにも一応、部屋はあてがわれていたけど、他に宿、とっちゃったし、そんなに荷物を持ってきてるわけじゃないしね。だから、荷物を置いてるだけだし。
 中には、遠方から来ていて、ここに宿泊している人も何人かいるらしい。
 オーナーさんとの話は「イベント当日は雨が降らなければいいけど」とか、「実は『外』でパーティーを開く意見も出ていた」とか、そんな感じだ。
 会長も一緒にいたけど、あの人は話に加わらずにスマホ見てた。
 それで、午後一時すぎ。
 突然、悲鳴が聞こえた。二階だ。
 オーナー、会長、そして、僕は階段を駆け上がった。
 すると、若い女性が一人、部屋の中を見て、腰を抜かしていた。
 ガタガタと震えている。
 他の部屋の人たちも集まってきた。オーナー、会長、そして僕が部屋の中を見た時。隣の部屋でガラスの割れるような音がした。会長が反射的にそっちへ向かう。だから、僕は、部屋の中を見ることができた。いや、目の当たりにしてしてしまった。
 女の人が血だまりに横たわっているところを!

 誰かの御遺体を見るのって、これで三度目だけど、血だまりっていうのは、初めて。だから、気分が悪くなって倒れそうになった。よく勘違いされるんだけど、僕が二時間サスペンス好きだから、殺人の現場なんかも平気だろう、って思ってる友だちが多い。
 そんなことないからね? 二時間サスペンスなんかだと、そんなドぎつい場面って、まずないから!
 気がつくと、ペンションにいる全員が、みんな集まっていた。その中で、隣の部屋にいた人、あの背の高い人が言ってる話が耳に入った。曰く「部屋を出ようとしたら、黒ずくめの人が入ってきて、驚いて部屋の奥に逃げたら、隣の部屋で悲鳴が聞こえて、黒ずくめが椅子を使って窓を割って外へ逃げた」。
 騒ぎを聞いて、その部屋のドアの前を通りかかった人がいて、「誰かが走り去る足音が聞こえた」ってことだった。
 その話を聞いた誰かが「外から入った何者かが、その女性を殺して、隣の部屋の窓を割って逃げたんじゃないか」って言った。ほとんどの人は納得してたんだけど、それは、どうかなあ? ここ、二階だし。
 戻ってきた会長を見ると、彼女、いつものように右手の指を鼻と指にかぶせるようにして、何か考えている。
 そして、オーナーに言った。
「オーナー、すみませんけど、皆さんを談話室に集めて、警察に電話をお願いします。そのあとで、こちらに戻ってください」
 いつもなんだけど、なんでこの人、冷静なんだろう。
「わかりました」
 で、なんでオーナーも言うことを聞いちゃうんだろう?


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