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作品名:会長の「探偵物語」3 作者:ジン 竜珠

第1回
 バレンタインデーも近づいた、ある金曜日。僕と会長は、遠方にあるペンションに来ていた。
 ここで、バレンタインデーに向けたイベントの説明会があるからだ。
 そのイベント、っていうのは、いわゆる「お酒あり」の出会いパーティー。実は参加者としてエントリーしたかったんだけど。それで、できれば、会長を誘いたかったんだけど。でも、それだけの勇気が持てなかったんだよね。
 それ以前に、僕がこのイベントのことを知った時には、とっくに参加募集は締め切られてたし。
 だから、諦めてたんだけど。
 でも、スタッフ緊急募集の告知が出たんだよね。人数は三人。だから、僕は会長を誘ったんだ。せめて「バレンタインの雰囲気に感化されてくれないかな」って思って。そして、実は副会長も誘った。その方が「サークルとして参加する」感が出ていいんじゃないかって思ったからだ。でも、副会長はバイトが入ってて無理だった。だから、諦めようかって思ったんだけど。
「応募したら、詳しいスケジュールを添付したメールが来たわよ」
 会長が応募してたらしい。
 ちょっと意外だった。会長って絶対、自分からこういう行事に参加するような、そんな人に見えないからだ。
「イベントには、興味ないけど」
「でも、会長もスタッフとして参加するんですよね、興味ないのに?」
 僕の目が、疑わしいものを見るようなものになっていたからだろう。理由を説明してくれた。
「スタッフは、打ち上げで、ヴィンテージワインが飲めるそうだから」
 ……会長って、ワイン好きだったんだ。お酒、飲めないんだよね、僕。

 そんなわけで、僕たちは、このペンションに来ていた。はっきり言って今はシーズンオフ。だから、利用客はいない。でも、ここのオーナーはそれを逆手にとって、イベント会場にしようって考えたらしい。
 それで、遠方から来る人がいれば宿泊する人も出るだろうってことらしい。
 要するに、今、ここに宿泊してるスタッフの人がいるんだよね、結構な数が。
 で、ついでにいうと、ちょっと失礼になるけど、他のスタッフさんは、みんな珍しい名字の人ばっかり。あ、一人だけ、よく聞くような名字の人もいたっけ。その人、一人だけものすごく背が高かったな。
 で、朝の十時、顔合わせと自己紹介をして、簡単な説明が始まった。本格的な内容の説明は、午後からだ。
 その説明の中、気になる話が出た。二つも。
 一つは、最近、近所を野犬がうろついているということ。どうも、「餌付け」しちゃった人がいたらしい。オーナーやペンションのスタッフさんたちも、いろいろと対策してるらしいけど、目に見えた効果は出てないらしい。
 そして、二つ目。殺人か何かの指名手配犯が、ペンションの近所に潜伏しているらしい。別荘地ではないけど、この一帯には、いくつか空き家が点在していて、そこに住み着いている怖れもあるということだった。新しい足跡も残っていたらしい。
「もしかしたら、皆さまの中に紛れ込んでいるかも知れませんなあ、ハッハッハッ」
 オーナーは、そう言ってたけど。
 もしそうなら、笑い事じゃ、ないんじゃないかな?


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