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作品名:神氣学園清秋傳 作者:ジン 竜珠

第7回 7
 日曜日は、新輝祭の本祭だ。
 イベントガイドによると、よくぞここまでハメを外したことが許されるな、ていうぐらい、イカレた企画が目白押しになっている。
 珠璃から聞いたんだが、ここの学園には生徒会、学生会、自治局っていう三つのベクトルが存在するそうだ。大雑把に言って「学校行事を、学園の側に立って管理運営する」のが生徒会、「学生の自主的活動をサポートし、学校行事について生徒の側から企画・提案する」のが学生会だそうだ。自治局っていうのは主に学園OBの人たちによって構成される組織で「企業経営のシミュレーションをするための機関」らしい。その性質上、備品や消耗品のいくつかは自治局を通して、納入されているという。そして、この自治局は、生徒会の決定に疑義を呈し、それを白紙にして、自治局発議で結論を出すこともできるらしい。
 言い換えると。
 自治局の人たちは学園OBが多い。つまり、ここの行事に慣れてしまっていて、感覚が麻痺してる可能性が高い。つまるところ、事実上、生徒、野放し。
 それって、ヤバくね?
 実際。
「学園所有の遊休地を有効活用するための、公開討論会」
「青年の主張、だね」
「限られた材料費で、レシピを披露する料理大会」
「調理師志望者の意欲を応援する学園行事、かな」
「ランウェイを設置したファッションショー」
「被服系部活動の、活動の成果を発表する場、だよ?」
「ものは、言い様だな」
 ちなみに、今の三つとも、午前中から昼過ぎにかけて、特設ステージで行われるイベントだ。
 これ、本当に高校の文化祭か?
「実はね」
 と珠璃が言った。
「武道系部活動による、異種格闘技戦の企画もあったんだけど、医務担当の先生や志望する生徒、外部から来ていただける医療従事の方々の数が、少なくてね。自治局にハネられたんだ」
「ていうことは、その条件を満たしたら、認められていた可能性があるってことか」
「資料を見ると、おととしの新輝祭では開催されてるよ」
「……この高校って、もしかしたら、異次元に属してるんじゃねえの?」
「うん。ボクも、そう思う時がある」
 珍しく、珠璃が同意した。

 俺たちは、午前八時半には学園に来ていた。各種イベントや模擬店の開店は九時から。しかし、一部は八時半から生徒だけに開放されている。
 そんな模擬店の一つに、「占い」がある。いくつかあるらしいんだが、俺たちは本校舎の空き教室で開催されている「占いの館(やかた)」へ行った。
 ここに、杏さんがいるのだ。
 彼女は宗師、つまり俺の爺さんから繋がっている分家筋の娘さんなんだが、とんでもねえ予知能力を持っている。それこそ、シャレにならねえレベルの。
 ただ、彼女によると「変更不可能な未来は、そもそも予知できない。それこそが神様のご配慮」なのだという。だから、彼女が予知する未来は、いいものでも変わってしまう怖れがあるし、逆に悪いものを変えることも可能なのだという。
 そして、それだけでなく、杏さんは占いの才にも恵まれている。彼女の占いは「天津金木(あまつかなぎ)」っていう古神道に伝わる占法がメインなんだが、あれは秘伝なんで、ここでは易(えき)をメインで行っているそうだ。
 もっとも易といっても筮竹を使って卦を立てるっていうものじゃなく、いわゆるコインを使う擲銭(てきせん)らしい。それだけじゃなく、東洋系のいろんな占法も使っているという。
 教室の前まで来ると、一人の女生徒が目頭をハンカチで押さえながら出てきた。学年章の色が黄色だから、三年生か。
 どんな未来を宣告されたんだかな。


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