小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:神氣学園清秋傳 作者:ジン 竜珠

第15回 参之傳 母、また来たる・壱
 新輝祭も終わり、俺のギプスもとれた。まだ、違和感はあるが、とりあえず日常生活には問題はねえし、四、五日したら、軽めのものなら、筋トレとかも再開できそうだ。
 だが、珠璃は相変わらず、ウチにいるんだよな。
 姉貴曰く「珠璃ちゃんがいると、本当に助かるわ」とのこと。
「お料理、手伝ってもらえるし」
 これはまだわかる。
「珠璃ちゃん、お風呂で、竜輝の身体とか、髪とか洗ってやってくれる? この子、まだ腕とかうまく動かせないから」
 待て。
「もしかしたら、夜中に腕が痛むかも知れないから、お薬飲ませるために、一緒のお部屋に寝てやってくれるかな?」
 ちょっと待て。
「ベッド、ダブルに買い換えるわね」
「いいから、待て!!」
 俺は珠璃を残し、姉貴をリビングから、玄関まで押し出した。
「何言ってんだ、姉貴は!?」
 房中術の修行とかあるだろ!?
 そんなことを言うと、姉貴はケロッとして言った。
「それなら問題ないわよ? 火曜日ぐらいから、金曜日の夜、だから、ゆうべね。四日かけて、お姉ちゃんから珠璃ちゃんに伝授しておいたから。まだ、初伝の入り口だけど」
 ……。
「なあ、姉貴。あれって、一応『秘伝』なんだが?」
「宗師には、許可をいただいたわよ?」
「なッ!?」
 何考えてんだ、あのクソジジィ!?
「『身内が許嫁(いいなずけ)を決める、そんな時代でもあるまい』って、大笑いなさってたわ」
 これはあれか、イザナミの件が片付いて、代々抱えていた懸案事項が解決したから、もはや、色んなことが、どうでもいいと? どこまで雑な考え方してるんだ、あのジジィは!?
「珠璃ちゃん、飲み込みが早いわよ。あれなら、大丈夫」
「何が?」
 俺の問いには答えず、姉貴が不意に真剣な顔になった。
「竜輝」
「……なに?」
 その表情があまりにもまじめで、俺は思わず姿勢を正した。
「あたしと竜輝、『姉と弟』っていうことになってるけど、戸籍上は他人なの。だから、法律上、結婚は問題ないの」
「……。すまん、姉貴。それぐらい、知ってるんだが?」
 天宮流神仙道宗家では、家を継ぐと見込まれたものが男の時は姉を、女の時は弟に、それぞれ当たる子どもを高弟の家から、子どもとして迎える。しかし、戸籍上は他人だから、結婚することもできる。結婚した人もいたし、そうでない人もいた。それぐらいは、俺も宗師から聞かされている。
「つまりね、お姉ちゃんは竜輝と結婚できるけど……。あたし、『二号さん』でいいから」
「はいぃ?」
「竜輝と珠璃ちゃんの間に割り込むつもりはないから、お姉ちゃん」
「悪い、本気で理解できねえんだけど、姉貴の言わんとするところが?」
「あたしって、『耐える女』よね?」
 そんなことを言った。
 真顔で。
 いや、笑いこらえた顔で。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 84