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作品名:神氣学園清秋傳 作者:ジン 竜珠

第13回 弐之傳 本祭狂詩曲・漆
 特設ステージでは例の公開討論会をやってる。こんな堅苦しいもの、誰が見るんだって思ったが、結構、人が集まってる。背広着た人(どう見ても、どこかの企業の人っぽい)とか、マスコミ関係者もたくさんいる。
 この高校、ほんとに、どっちに向かってるの?
 人も増えてるな。時刻はそろそろ十時か。
 何気なく見渡してると、ちっこい影を見つけた。そいつも俺を見つけたようだ。「イケメン先パァァァァァァァァイ!」なんて言いながら、駆けてくる。
「ありすか。お前、そのカッコ」
 そこにいたのは、一年生の乾ありすだ。美悠那の、スイーツ研の後輩で、なんていうか、コメント不能な娘だ。
 来ているのは、学園の制服じゃなく、ピンクと黒で構成された衣装、いやコスチュームだ。一応、学園の制服デザインを元にしているようだけど、フリルとかメタリックなボタンとか、リストバンドとか、左肩を覆うようなストールとか。
 ありすが自分の服を見て、言った。
「午後のバンドパフォーマンスに、お呼ばれしてるですよ!」
 確か午後四時から有志による、バンド演奏があったっけ。
「もしかして、ありすちゃん、出るの?」
「ハイです! でも、あくまで、あたしたちは『ソラス』の皆さまに向けて、会場をあっためるのが目的ですから! だから、ムダにシャウトしたり、あおったり、ましてやダイヴなんてしませんよ? それにあたし、ピーキーじゃないつもりですから、そんなにディープじゃありませんし。J−POPを広く浅く、がコンセプトです!」
「珠璃、俺、ありすの言ったことの一語一語が理解できねえんだが、まずは『ソラス』って何?」
「竜輝」
 と、珠璃は少々呆れ気味に言った。
「キミはもう少し、世間の動きに興味を持った方がいい。『ソラス』っていうのは、今、注目を集めてるJ−POPの五人組ユニットで、今夜出演する、ゲストアーティスト。新輝祭のスケジュールが変わったけど、運良く彼らのスケジュールも都合、ついたからね。出演をOKしてくれたんだ。ボクもアルバム持ってるから、今夜、聴くといいよ」
 そうか。俺、歌とかはあんまり聴かねえからな。よく聴くのはイージーリスニングとかクラシックの器楽曲とかだし。歌詞があると、うかつに唄えねえんだよ。言霊の影響とかあるからな。
 意識してる人ってあんまりいねえんだが、言霊の修行をしていない人でも、ある種の組み合わせを持った言葉(例えば神歌とか、お経とかな)だったら、それなりに効果が出る。歌の場合、トランス状態になりやすいから、下手をすると歌詞の内容が自分自身や周囲に再現される怖れがある。
 もちろん、そうならないような修行も、俺たちはしてるし、俺たちも言うことがいちいち「力」を持つような境地には、ほど遠いけどな。
 だから、俺が歌を聴かないのは、ただ単に父さんや母さん、姉貴の影響だと思う。
「ありすちゃんは歌が上手だからね。楽しみだなあ」
「かいちょさんも、一緒に出るですか?」
「うーん。そうしてもいいけど、イベントは出るより、見るものだから、ボクにとって」
「だったら!」
 と、ありすの表情が輝いた。
「ぜひ、見てください! あたしのバンド、ガールズバンドなんですけど、みんな見られると興奮するんで!」
「……なに? 何言ってんの?」
 ちょっと言い方を変えた方がいいんじゃないだろうか。そう指摘しようと思ったんだが、それより早くありすが言った。


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