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作品名:会長の「探偵物語」 作者:ジン 竜珠

第1回
まえがき


 え〜。最初に謝罪しておきます。
 ミステリ、というカテゴリにするのが、はばかられる作品です。あと、こちらのミステリにカテゴライズされている作品をすべて拝読しているわけではないので、おそらく同案の作品があるものと思われます。それについては、本当に申し訳なく思っております。ご迷惑をおかけ致しますが、寛大なお心でお読みいただけましたら。



 とりあえず、でいいんだけど、頭に入れておいてほしいことがある。
 この四月に入学した大学で、僕は「ミステリ考究会」に入会した。単純に二時間サスペンスが好きだからだ。で、会長が、ビックリするぐらい美人だったのも、ラッキーだと思った。なぜか会長と、そのいとこだっていう副会長(この人は男の人で、見るからに優男、って感じの人だったけど)しか会員がいなくて、他に「ミステリ研究部」っていう似た名前のサークルがあって、で、そっちの方が圧倒的に部員が多いのが気にはなったけど。
 ……まあ、その理由は八ヶ月間、会にいて、わかったんだけどね。
 で、その年の十二月、僕は会長に連れられて、北国にあるペンションに来ていた。このペンションは会ができた年に、合宿に来たそうで、会長曰く「雰囲気がピッタリ」なのだそうだ。
 何にピッタリなのかわからないんだけど、その年も雪山にある、このペンションに来ていた。副会長はバイト先の塾で、特別講習会があって、その手伝いに行かなきゃならないってことで、僕と会長の二人きり。普通なら「ラッキー!」ってところなんだけど……。
 荷物持ち、ってことで僕は自分を納得させるしかない。ペンションの宿泊費やら交通費やらは、会長が出してくれたし。あと、雑用係とか、雑用係とか、雑用係とか。
 初日の夜、外はあいにく吹雪(ふぶ)いていて、僕たちは二階建ての、このペンションに閉じ込められることになった。幸い、電気は通じているし、食料は十分あるってことで、吹雪がやむという明日の昼までなら、ここに籠城することだって、できるそうだけど。
 そんなわけで、ここには今、定員以上に宿泊客がいた。
 つまり、今日、ここに来た人と、チェックアウトするはずだった人たちが、一緒にいるわけだ。僕たちも含めると、十人くらいいるだろうか。
 やむを得ない、ということで、本来なら二階の一人部屋だったんだけど、一時的に僕は「今日来た」という紺野(こんの)さんという、初老の男性と相部屋となった。

 夜中の二時頃だったろうか。僕は、肌寒さを覚えて目を覚ました。
 ふと起きてみると、どうやら、少しばかりドアが開いているらしかった。そこから廊下の冷気が流れ込んできていたらしい。
「おかしいな、ちゃんと鍵かけたのに」
 そんな風に思いながら、僕はドアの所まで行く。すると、ベッドに寝ていたはずの紺野さんの姿がない。
 僕は、ドアよりは、どちらかというと窓の方に近いソファに寝ていたから、紺野さんが部屋を出たことに気づけなかったんだろう。
「トイレかな? でも、ここにあるのに」
 と、僕はトイレットルームを見る。ここはペンションとはいっても設備はホテル並みで、各部屋にトイレとシャワールームが備え付けてある。なんでも昔、小さいホテルだった建物を改装したそうで、配管設備を撤去して改装する方が、費用がかかるから、らしかった。トイレットルームからは音もしないし、明かりもついていない。人の気配もなかった。
「共同のトイレにでも行ったのかな?」
 このペンションは、一階にも、というより、渡り廊下で繋がってはいるけど、感覚的には「離れ」っていってもいい、共同のトイレとバスルームがある。バスルームはちょっとした屋内露天風呂の趣があって、そっちの方を利用する人も多いっていうけど、トイレは、こんな夜中に寒い思いまでして、わざわざ利用する意味がわからない。
 しばらく待ってみたけど、紺野さんが帰ってくる様子はない。僕は部屋の照明をつけて、改めて確認してみた。
 荷物はある。ガラステーブルには、紺野さんの私物である、高級そうなライター(ダンヒルとかいうんらしいんだけど、僕は知らない)も、そのままになっている。
 このまま待っていても仕方がない。他の部屋に行ってる可能性もないとはいえないけど、だとすると、貴重品であるライターを置いていくということもないと思う。まさか施錠するわけにもいかないので、僕は廊下に出て一階に行くことにした。


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