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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第8回 壱之傳 帰郷雑記・弐
 実家には道場がいくつかある。そのうちの一つ「寅の道場」は、俄に賑やかになっていた。道着に着替えた俺と和寿さんが、組み手をするという話が、あちこちへと伝わったらしい。他のお弟子さんたちが、野次馬に集まっていた。
「竜輝さんは、千京市で実戦を経験なさってますよね。どの程度腕を上げられたか、楽しませてくださるといいんですが?」
「余裕ぶっこいてられるのも、今のうちですよ? 連敗記録が伸びないように、気をつけてください」
 お互い、言葉で挑発する。ちなみに俺と和寿さんとの対戦記録は、五勝三敗で俺の方が勝ち星が先行。しかも、最近は二連勝だ。
 審判は、住み込みのお弟子さん、呪術の腕前だけなら師範代レベルという平田さんだ。
「両者、始めッ!」
 その声で、組み手が始まった。最初はお互い様子見。軽く拳や蹴りを放つ。だが牽制から徐々に技が絡み合っていく。お互いの「咒氣」をまとった拳や蹴りが、お互いの体を掠(かず)めていくのだ。
 相変わらず、和寿さんの放つ咒氣には、妙な「粘り」がある。うっかりこれに引っかかると、技に巻き込まれてしまうのだ。だが、俺もバカじゃない。この「粘り」に巻き込まれたフリをして懐に一気に入り込む。実は先の二連勝は、これが功を奏して得たものだ。
 だが、今回はそう甘くない。和寿さんは粘りのある氣で俺を絡め取ろうとしながらも、必要以上に俺を近づけようとしない。
 しばらく撃ち合って、俺たちは間合いを取った。
「腕が落ちたんじゃないですか、和寿さん?」
「そんな挑発には、のりませんよ。さて、そろそろ『気合い』を入れようじゃないですか、お互い」
 言うが早いか、和寿さんがダッシュをかけた。そして俺に届く直前で姿が消える。「穏形」の気が感じられる。俺はほとんど直感的にその「気」がする辺りに蹴りを放つ。だが、手応えらしいものはない。直後!
「上かッ!?」
 俺は咄嗟に横っ跳びに跳ぶ。それと同時に、俺のいたところに和寿さんの蹴りが落ちた。
「さすが実戦経験者は違いますね」
 そんなことを呟くと、再び姿が見えなくなる。そして俺は。
「二度も同じ手は喰らわねえっつうの!」
 気合いもろとも一旦「濃厚な気配」のするところに蹴りを放つ。そして同時に周囲の「氣」を巻き取るように体を捻る。
「おうっ!?」
 そんな呻き声を耳にしながら俺は、背後に現れた和寿さんの気配を捉え、そのまま体を捻って和寿さんを抱える。そしてジャンプして宙でさらに身を捻り、体重を乗せて和寿さんを床にたたきつけた。
「それまでッ!」
 平田さんの声がかかった。


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