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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第7回 壱之傳 帰郷雑記・壱
 お盆である。世間では帰郷シーズンであり、御多分に漏れず俺は実家に帰っていた。
 まずは宗師に「イザナミ」の件を報告。これについては以前も電話やら手紙やらで報告してはいるが、細かなところはやっぱり直接聞きたい、とのことで、宗師に直接報告。そのあとは、いわゆる自由時間だ。
「久しぶりだね、ここに来るのは。お正月以来かな?」
 一緒に帰って来た珠璃が廊下を歩きながら庭を見て、そんなことを言う。
 忘れている人もいると思うが、鬼城家は天宮の分家だ。ひい爺さんには血の繋がった姉と妹が一人ずついたんだが、その妹の方が嫁いだ先が鬼城家だ。最初は「婿養子を取る」という話もあったらしいんだが、それだと跡目のことやらがややこしくなるとかで、神意を伺い、こういう形になった。しかし、霊統(れいとう)のことを考え、「分家」という位置づけになっている。ちなみに、杏さんの家は爺さんの弟さんから始まっている。
 まあ「分家」とかどうとかは、現代の法律じゃあ全く関係ないんだが、こと「霊統」ということになると、そのあたりのことは、きちんとさせなければならないらしい。特に「宗家を継ぐ」というあたり、な。
 んで、珠璃はすでにご両親が物故していて一人っ子、奥津城(おくつき。古い時代に日本で使われていた「お墓」の表現な)は宗家にあるってことで、二年ぐらい前から、お盆には珠璃は宗家に帰ることになっている。
「そうだな、年賀の挨拶ぐらいかな、みんなが集まるのって。……そういえばさ、珠璃が眼鏡かけてるのって、視力以外に、『あれ』のせいだったよな?」
「そうだよ。どうしたんだい、いきなり?」
「あ、ああ、いやあ、なんか他に理由があったような気がしてさ」
「ふうん。ま、なんとなくボクもそんな気はしてるだけどね」
 勘の異常に鋭い珠璃がそう思うのなら、案外、本当にそうかも知れない。そのことについてもうちょっと踏み込んだ話をしようと、俺が思ったとき。
「竜輝さん、お久しぶりです」
「和寿(かずとし)さん」
 振り返るとそこにいたのは作務衣を着た若い男性。住み込みのお弟子さんの一人、曽根上 和寿(そねがみ かずとし)さんだった。俺より十歳ぐらい上だったと思う。年下の俺たちにも敬語を使う、すごく腰の低い人だ。
「珠璃さんも、お久しぶりです」
「……うん、久しぶり」
 理由はわからねえが、珠璃は和寿さんを、よく思っていない。去年の年賀で家に来た時、それとなく聞いてみたけど「なんとなく。あるだろ、虫が好かないって」てな感じだった。
 まあ、俺たちも修行中の身だからな、さすがに「万人を愛せよ」なんて境地には達してない。
「どうですか、あとで?」
 と、和寿さんは自分の顔の前で軽く拳(こぶし)を握ってみせる。組み手をしよう、というのだ。
「いいっスねえ」
 と俺も拳を作り、和寿さんの拳に軽く当てる。
「じゃあ、道場の方を手配しておきますので、後ほど」
 そう言って、和寿さんは去って行った。
「さて、と。じゃあ、ボクは裏の森を散策してくるよ」
「……おう」
 和寿さんも、随分と珠璃に嫌われたな。
「そんじゃあ、俺はウォーミングアップでもしとくかな。昼飯前だし、いい運動だ」
 軽く片手を挙げて応えると、珠璃は玄関の方に歩いていった。


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