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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第47回 陸之傳 大祓・肆
「珠璃ッ!?」
しかし、俺が叫ぶより早くイザナミの手が珠璃の首にかけられ、珠璃の体が浮かび上がる。
 苦しげな声を上げ、珠璃が吊り上げられる。当然、祝詞奏上は妨げられてしまった。
 俺は全身に力を込め、立ち上がる。
「神火清明、神水清明、神風清明、祓い給え、清め給えッ!!」
 咒氣が全身を満たす。俺はそのまま、イザナミとの間合いを詰めた……つもりだった。
俺が発した以上の力で、俺は弾き返された。なんとか途中で体勢を整えたものの、着地するだけで精一杯だった。神歌や祝詞を唱えている暇(いとま)など、まったくない。出来ることは、咒力をチャージして、それを刀に伝え、それでヤツに斬り込むことだけだ。
 だから、俺はとにかくありったけの氣を巡らせ、ヤツに斬りかかる。だが、ことごとくが異常な圧力……霊圧、いや、神(しん)力(りき)によって跳ね飛ばされるだけだ。
 そして、イザナミが凄惨な、としか表現できない笑いを浮かべ、宣言するように言った。
「汝で遊ぶのも飽きたわ。疾(と)く、去(い)ね」
 奴が言うと同時に、それまでとは比べものにならない圧力、いや、全方位からの衝撃波が俺を撃った。
 声も出せず、俺は、うつぶせに倒れ込んだ。それと同時に、俺の手元で、嫌な音、聞きたくない音が響いた。
「し、七支刀……が」
 イザナミが鼓膜を引き裂くような笑い声を立てる。
 七支刀が、粉々に砕けたのだ。
「さて、この女子(おなご)はしばし捨て置いても問題はあるまい。まずは汝を血祭りに上げるとしようか」
 ヤツがそう言った直後、先刻のような衝撃波が、俺を地面に押さえつける。吐いたのは、多分、血だ。もはや、悲鳴を上げることさえ出来ない。俺の意識は、次第に遠のいていった……。

 その時だった。
 俺の頭の中に、声が、いや、メッセージが飛び込んできたのだ。
 その真偽を吟味する余裕などない。俺はそのメッセージの送り主……七支刀のカケラを信じた。
 俺の中に、これまでにないほどの神氣が満ちていく。
 四肢に力を決め、ゆっくり立ち上がった俺は、右の拳(こぶし)を天高く突き上げた。
 俺が何をしているのか、いや、何をしようとしているのか、理解できないのだろう。イザナミが訝しげな表情を浮かべている。だが、俺にはもはや、まともな力が残されていないと判断したのか、ただ、見ているだけだ。
 俺は神氣を全身に走らせる。放電のような何かが、俺の体表を走る。そして、力を込め、祝詞を唱えた。
「一(ひと)、二(ふた)、三(み)、四(よ)、五(いつ)、六(むゆ)、七(なな)、八(や)、九(ここの)、十(たり)、百(もも)、千(ち)、万(よろづ)、フルヘ(ふるえ)、ユラユラトフルヘ(ゆらゆらとふるえ)!」
 砕け散った七支刀のカケラが粒子となり、俺の右の拳に吸い込まれていく。その拳に向けて、俺は神氣のありったけを込める。そして、命令するように叫んだ。
「来いッ!! 八握(やつか)の剣(つるぎ)ィィィィィ!!」
 俺の言葉に応えるように、俺の拳が眩い閃光を、いくつもいくつも、そして、何度も何度も放った!


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