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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第44回 陸之傳 大祓・壱
 案の定、といったところか。
 その夜、何かの異変を感じて、俺は学園の正門前にやって来た。時刻は午後九時を少し過ぎたところ。そして、ここには俺だけではなく、珠璃、零司さん、杏さん、鷹尋、麻雅祢、つまり「あの時」のメンバーが揃っていた。
 学園に、異様な気配があって、中に、まさにウヨウヨと妖魔どもが蠢いていたのだ。そして、そこにはもう一人。
 確か、屋敷さんとかいう、冥神のメンバーである女の人もいた。
「今、ここは『結界』でおさえています。もうじき、他のメンバーも到着すると思います。ですが……」
 屋敷さんの声には、明らかに戸惑いが感じられる。確かにそうだろう、目に見えて、こんな異変が起きているのだ。今まで、こんなことはなかった。
 俺は「もしや」と思い持参した七支刀の束(つか)に、手をやる。姉貴は仕事で不在だったので、ここへ来るのに、市電なんかを使ったのだが、誰にも見とがめられることはなかった。刀は風呂敷にくるんでいたし、そういう風に「呪術」を使いはしたが、なんとなく「わざと」気にしないような空気があったのも、確かだ。
 みんな……多分、この街に住むみんなが、異変を感じているのかも知れない。
 俺が、どうしたものか、と考えていると、不意に零司さんが、俺の胸ぐらをつかむ。
 何事か、と思っていると、零司さんがニヤリ、として言った。
「あとで、珠璃ちゃんは『送り届けて』やる」
「え? 何を……」
 と思っていると、零司さんの呪力が、俺をつかんでいる腕に急速にチャージされていくのがわかった。
「ここは、俺たちに任せて、お前は『ラスボス』を叩け!」
 言うが早いか、零司さんは俺を空高く、ぶん投げた。

 無茶苦茶だ。
 あの人は、こういうことはしないと思ってたんだが、事情が事情だからな、俺の消耗を最小限に抑えて御柱のある辺りまで送るのには、こういう手しかなかったのだろう。
 宙で反転すると、俺はグラウンドの、ほぼ中央に着地する。不思議なことに、妖魔はいない。妙だな、と思っていると、天から珠璃が振ってきた。珠璃も空中で身をひねり、着地する。
「お前も、零司さんに、ぶん投げられたのか?」
「あの人がそういうことをするわけがないだろ? 零司さんと鷹尋くんが、『ジャンプ台』を作ってくれたんだ」
 なるほどな。
 珠璃も妖魔がいないことを不審に思っていたようだが、すぐに何かに思い当たったようだ。
「ああ、このことか」
「何かあるのか?」
「杏さんがね、『妖魔は引きつけておく』って言ってたんだけど」
 そうか。何らかの呪術を使って、グラウンドに妖魔がいないようにしたのか。
「それなら」
 と、俺は七支刀を地に突き刺し「咒」を唱える。珠璃もそれに合わせて「咒」を唱え始めた。以前、珠璃が視てくれた「御柱を封じ、偽装している」という「冥(みよう)陣(じん)」を顕す咒だ。
 俺の足下を中心にして、直径にして十メートルほどだろうか。不思議な咒字や記号、神代文字で構成された、七色に輝く円陣が現れたのだ。そして、俺が一気に剣を深く突き込む。
 足下が揺らぎ、地が砕けていく。だが、それは霊眼にのみ映じる光景であり、実際に地が崩れているわけではない。そして、俺と珠璃は、肉体のまま、その中に踏み込んだ。
 深く深く、落ちていくような感覚の中、俺たちは、深く広い空間に舞い込んだ。


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