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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第42回 伍之傳 落日・参
 ミハシラ・メディックスの研究所、その一室が謎の崩壊をしたのは、四日ほど前。調査の結果、爆発物ではなく、強度を上回る負荷がかかった、つまり何らかの衝撃だったということだった。
 新輝学園の理事長室で、報告書を見ながら、護代真吾は唸るより他はなかった。研究所の壁を破壊するほどの衝撃など、普通に考えれば、爆発以外に考えられない。だが、調査では爆発物ではないことが明らかになっている。そうなれば、重機等による破壊だが、それも、まず有り得ない。
 ミハシラ・メディックスには「金丹」と称する薬剤を研究させている。あれが実際どういう物であるのか、真吾は知らない。だが、叔父である現社長は興味を示し、その分析と社長個人の運用を条件に、今の地位を築くことができた。そもそも、あの薬剤の話を持ちかけてきたのは、志賀修一だ。彼もまた何者かから供与されたらしかったが、現在の彼が精神的に不安定になってしまったのは、もしかすると、あの薬剤のせいではないのか? だとすると、ひょっとしたら、あの薬剤は公(おおやけ)には出来ないタイプのものかも知れない。ならば、公権力の介入は何としても避けねばならない。痛くない腹を探られるのならまだしも、実際に痛みを伴う事態かも知れないのだ。
 警察等には「壁の老朽化と、その強度を上回る圧力が加わったことにより、崩落の危険があったため、急きょ、取り壊した」ことにして、届け出てある。だが、もし今後同じようなことが、続けて出(しゆつ)来(たい)するようなことがあれば、誤魔化すのも難しくなる。
 一刻も早く原因を究明し、対策を講じなければならない。
 そういえば、もともと志賀の監視用に送り込んだ浦田将兵との連絡も取れない。いつからかは、はっきりとはわからないが、あの事故が起きた件について連絡を取ろうとしたら、その日の夜には、すでにできなくなっていた。彼には中城の動静を監視するよう命じておいたが、もしかするともっと「割のいい仕事」でも見つけたのかも知れない。
 もっとも、真吾にしてみれば、浦田のかわりはいくらでもいる。だが、もしあの事故について何か知っていることがあれば、聞いておかないわけにはいかない。
 石動紗弥には、そのあたりも含めて、調査を命じておいた。だから、今朝「午後四時に話が出来ないか」と言われた時、そのことに関連する内容だと思ったのだ。
 椅子から立って、窓から外を眺めると、快晴の空に、西に傾いた太陽が、淡い赤みを帯びた光を投げかけていた。
 そういえば、どういうわけか、この数日は活動を休みにしている部活が多いというのを聞いている。詳しくはわからないが、放課後になると体調不良になる部員が相次いで、活動どころではなくなっているところもあるらしい。長期的には、これは望ましいことではない。場合によっては、何らかの保健指導を仰ぐことになるかも知れない。
 そんなことを思っていると、内線が鳴った。紗弥が、もうすぐ理事長室に来る、ということだった。


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