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作品名:「SagaV 神氣学園滅神傳」 作者:ジン 竜珠

第33回 番外之傳 アイランド、ゴー! GO!・陸
 俺たちの困惑をよそに、講習は続いていく。
「実はね、この記号の規格は厳密に決まってるんだけど、形だけでも大雑把でいいから、覚えておいて損はないよ」
 確かに記号の比率とか書いてある。久野さんは「覚えておいて損はない」って言ってるけど、多分、日常生活じゃあ、まず使うことのない知識だ、これ。雑学の範(はん)疇(ちゆう)にも入らないんじゃねえか?
 途中、紐の結び方とか種類とかの解説とかあったりして、これはそれなりに役立ちそうではあったんだがな。
 食糧の確保で、「釣り上げ式罠」の作り方とか、「デッドフォール(落とし穴)」タイプの捕獲装置の作り方とか。「簡易的な飲料水の蒸留」なんて解説になった時にゃあ、修学旅行の講習というより、どこぞの軍隊の演習って雰囲気だったぞ? この人は俺たちを軍人にするつもりなのか?
「それじゃあ、食料になりそうなものの選別方法です」
 もはや、何も言えない。
「本とかね、前もって充分な知識があれば、別ですが、そういうのは、なかなか難しいと思います」
 うん。大前提として、「食料になりそうなものの選別」なんてシチュエーション、有り得ないからね?
 そうは思ったが、水を差すのも悪いので、黙って講義を聴く。
「とりあえず、キノコ類には手を出さないこと。これは、本当に専門家の知識がないと、取り返しのつかないことになります」
 それから、と、久野さんは近くの葉っぱや木の実を手に取る。
「ここにある植物は、一応、どういうものかわかっていますが、わからない、見たことがない、ということにします。まず、臭い。妙な刺激臭がないか。触った時、『かぶれ』とか、肌への異常な刺激がないか、しっかり確認します。強烈な臭いや、刺激があるからといって、即、食用にならないかっていうと、そういうわけでもないんですが、できれば避けておくのが無難です」
 そして、鍋を出す。
「可能であれば、次のようなことをします。まず、葉なり木の実を潰し、煮(しや)沸(ふつ)したお湯の中で、火を通します。加熱することで消える毒性もあるからです。出来れば、お湯は二、三回、かえてください。特に、極端な濃い色や臭いでお湯が濁る場合には、必ず取り替えること。それから、その湯は捨てないで、何かに保存します。場合によっては、これが他の動物を捕獲する上での『武器』にもなり得ますし、ひょっとしたら、薬剤になる可能性もあります。まあ、薬剤っていうのは冒険だけど、ハーブである可能性もありますから、できるだけ捨てないように」
 話を聞いていると、だんだん、軍隊の演習に思えてくる。
「火から下ろし、小さじに一杯程度、口に含みます。この時、すぐに飲み込まないこと。五分ぐらいは様子を見てください。その間に、刺激とか嘔吐感がないか、確認します。そういうのがないかなってわかったら、飲み込んで、今度は八時間、大体、朝から夕方までぐらいの時間、様子を見ます。この間(かん)に腹痛とか『じんましん』とか、他にも明らかな異常が出た場合には、その植物は食べてはいけません。ちなみに、何も食べなくても、一、二日程度は大丈夫です。人間が使うエネルギーは糖分だけって思ってる人も多いと思うけど、実は『ケトン体代謝系』というエネルギールートもあります。人間はね、摂取した糖分を使い切れなかった時は、それを脂肪なんかにかえて体に蓄えます。その脂肪を元に戻して消費するわけですね」
 この人の講義していることは、修学旅行の内容どころか、もはや高校で教える単元の内容でさえないんだが、ノリノリで聞いている生徒も何人か見受けられるから、まあ、いいんだろう。

 このほかにも、この期間中、トンチキな出来事で満載だったんだが、それは別の話。
 んで、結論。
 この学園が何を目指しているのか、本気でわからなくなってきた。


(番外之傳 アイランド、ゴー! GO!・END)


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